筋層非浸潤性膀胱癌に対するBCG膀胱内注人療法(BCG療法)は広く行われているが、その抗腫瘍効果発現を増強する目的で免疫チェックポイント阻害薬の併用の可能性を探った。まず、マウス膀胱内注入モデルを用いて(HeNマウスの膀胱内にMBT-2(mouse膀胱腫瘍)を注人。翌日よりBCG、免疫チェックポイント阻害薬を一週聞毎投与した)、BCG療法+免疫チェックポイント阻害薬の腹腔内投与の抗腫瘍効果の確認を行った。結果、併用療法がBCG単独療法よりも抗腫瘍効果が強いことが判明した。様々な治療効果発現メカニズムの解析を行ったが、結果的には併用療法おいて細胞障害性CD8+T細胞(CTL)に代表されるような獲得免疫細胞が癌細胞を直接(または聞接的)に働きかけている証拠を見出せなかった。このことの理由を突き止めること、また発展させることが今後の研究課題である。 BCG療法の抗腫瘍効果発現の機序の一つとしてBCG療法により膀胱に誘導される好中球の重要性が報告されており、IL-21が好中球誘導に大事なファクターであることも報告されている。第二の実験として、IL-21を恒常的に産生するBCG株(BCG-IL-21)を作成し、このBCG-IL-21を使用し、その抗腫瘍効果について解析、検討を行った。 B6マウスの膀胱内にMB-49(マウス膀胱腫瘍)を注人した。翌日よりBCG-IL-21、BCG、PBSの一週聞毎膀胱内注人を行った。BCG-IL-21群はBCG群の生存より有意に延長した。 治療開始後23日目の膀胱内浸潤細胞を解析したところgdT細胞、好中球がBCG-IL-21治療群で増加していた。さらに抗Gr-1抗体投与により好中球を除去することでBCG-IL-21治療群の抗腫瘍効果は消失したことから、好中球の重要性が確認された。今後さらなる抗腫瘍効果発現メカニズム解析を進める予定である。
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