研究課題
平成31年度は以下の項目について明らかにした。1. AKR1C3阻害剤の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)治療薬としての有効性とCRPC治療薬に対する耐性克服効果の検証:アパルタミド耐性細胞株(22Rv1/Apa-R細胞)ではその他のCRPC治療薬enzalutamide、abiraterone、cabazitaxelに対しても交叉耐性を示し、このことはAKR1C3を含めたNrf2下流シグナルの亢進によると示唆された。22Rv1細胞におけるアパルタミド処理による活性酸素種の亢進とアポトーシスシグナルの活性化はAKR1C3阻害剤の併用によって有意に増強された。この併用効果は22Rv1/Apa-R細胞でも確認された。併用効果が相加的か相乗的かについてCompuSynプログラムを用いて検証した。50、100μMアパルタミドと5、10μM CBR49の併用時の22Rv1細胞におけるcombination index(CI)が0.37-0.88であった一方、22Rv1/Apa-R細胞のCIは0.007-0.205であった。そのため、AKR1C3阻害剤は22Rv1/Apa-R細胞においてより効果的に相乗効果を示すことが明らかとなった。2. AKR1C3阻害剤のX線結晶構造解析: His-tagged AKR1C3リコンビナントタンパクを用いて結晶化を試みたところ結晶が得られなかったため、トリプシン切断サイトを導入し、Hisタグを切断した後にゲルろ過を行ったところ高純度のnative AKR1C3を得た。このリコンビナントタンパクを用いてAKR1C3‐NADP+‐阻害剤の共結晶構造解析に成功した。結晶構造解析から、水分子を介した水素結合ネットワークを介して過去の分子モデリングとは異なる配向を示すことが分かり、理由がつかなかった構造活性相関が理解された。
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The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology
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http://sv1.gifu-pu.ac.jp/lab/seika/