研究課題/領域番号 |
17K11153
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
永田 大介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20336689)
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研究分担者 |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20254279)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30381867)
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50551272)
飯田 啓太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (30713945)
惠谷 俊紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30600754)
中川 基生 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60590982)
内木 綾 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 高度医療教育研究センター講師 (20509236)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 拡散強調画像 |
研究実績の概要 |
私たちは、拡散強調画像(DWI)を併用した1.5T MRIを用いることで、膀胱癌に対する内視鏡下の手術前に、あらかじめ深達度を正確に診断できることを報告してきた。その有用性は高く評価され、「膀胱癌取り扱い規約」に取り上げられ、その後の診断効率向上に寄与することができた。しかし、1.5T MRIを用いた本法では、浸潤性癌の診断率の特異度と正診率は向上したが、感度は約80%と満足のいくものではなかった。この原因として、MRIの空間分解能の不足や、症例ごとの腫瘍および正常膀胱粘膜環境の違いや、尿成分の生物学的特性を検証できていないことがあげられる。 そこで私たちは、1.5T MRIを用いた研究で蓄積した、症例データや手術検体を元に、表在性癌症例で行ったMRIでの、拡散強調画像から算出されるapparent diffusion co-efficient (ADC)値が、膀胱内再発や浸潤性癌の予測因子となり得るのではないかとの発想に至った。そして数十例で検討を行うと、ADC値が低い症例は、相対的に高い症例と比較して、浸潤性癌に移行する率が有意に高いという結果を得た。これらの成果をもとに本研究では、MRIでADC値を計測し手術を行った症例を対象に、手術検体でのタンパク発現などの分子プロファイルや尿中の成分を解析することで、MRIによる術前診断の診断効率のさらなる向上と個別化を試みることによる、新たな術前診断法の確立に向けた基礎的研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2007年3月から2012年9月までの間に、名古屋市立大学病院で内視鏡手術(TURBT)もしくは膀胱全摘除術で筋層非浸潤性膀胱癌(T1/Ta)と診断された症例をリスト化し、術前3ヶ月以上前にMRIを撮像された症例、および主病変が7mm未満の症例を除外し、拡散強調画像併用で、1.5 T MRIにて病変が正確に評価できる症例113例を対象とした。ADC値が病理学的因子(組織型、組織異型度)と関連があるかどうかを、後方視的に検討する。さらに、ADC値が予後(生存率、膀胱内非再発率、非進展率)を予測する独立した予測因子となり得るかどうか、多変量解析を行う。年齢、腫瘍サイズ、組織型、組織学的異型度、単発/多発、上皮内癌の有無、術前尿細胞診、ADC値を検討項目とした。その結果、ADC値の低値は悪性度の高い尿路上皮癌の病理像を反映していた。 今後は手術検体を用いて、サイトケラチンやKi67やSOD、GPXなどの増殖関連タンパクや酸化ストレス関連タンパクの免疫染色を行い、その発現強度とADC値および予後がどのように相関しているかを比較検証する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は手術検体を用いて、サイトケラチンやKi67やSOD、GPXなどの増殖関連タンパクや酸化ストレス関連タンパクの免疫染色を行い、その発現強度とADC値および予後がどのように相関しているかを比較検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画の早期終了に伴って、また次のステップの研究にかかる試薬の購入が年度を超えたので、次年度使用額が生じた。引き続き計画に沿って臨床検体を用いた解析を行い、新たな膀胱癌画像診断法の確立に向けた研究を続けていく。
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