研究課題/領域番号 |
17K11155
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50551272)
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研究分担者 |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20254279)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30381867)
飯田 啓太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (30713945)
惠谷 俊紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30600754)
高橋 智 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60254281)
内木 綾 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20509236)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / ルテオリン / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
(i) 6週齢のTRAP雄ラットに、ルテオリン及びロズマリン酸を20, 100 ppmの濃度で混餌投与する。対照群として、ルテオリンを投与しない群を設けた。8週後の剖検時に前立腺、肝および腎を採取し、重量測定とともに血清中テストステロン、エストラジオールを測定した。その結果、ルテオリン投与によって、血清ホルモン値の変化を伴わず、癌の発生率の有意な低下を認めた。さらにその抗腫瘍メカニズムは、Ki67, TUNEL免疫染色によって、セルサイクルアレストと、アポトーシスの誘導であることを見出した。前立腺凍結組織のDHE法によって酸化ストレスを定量化すると、ルテオリン投与群で有意な酸化ストレスの低下を認めた。GPX2などの抗酸化ストレス遺伝子の発現低下をみとめることからも、ルテオリンはこれらの遺伝子を調節してROSを低下し、発がん抑制効果を発揮することが証明できた。 (ii) 6週齢の去勢した雄ヌードマウス(ksn/nu-nu)に、去勢抵抗性前立腺癌細胞株PCai1を1×106皮下移植し、ルテオリンを20, 100 ppmの濃度で混餌投与した。その結果、ルテオリンは、去勢抵抗性前立腺癌の増殖抑制効果も認めることが分かった。また、発がん抑制実験と同様に、ルテオリンによって、アポトーシスやセルサイクルアレストの誘導や、腫瘍血管の抑制効果を認めた。現在マイクロアレイなどを用いて、その詳細なメカニズムを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初のスケジュール通りに実験を行い、in vitro, in vivoにおける解析によって、ルテオリンは経口摂取でも抗腫瘍効果を発揮し、セルサイクルアレストやアポトーシスを誘導することが証明できた。また、関連の酸化ストレス調節因子も網羅的に解析することがができた。これらの成果を基に、より上流のあらたな調節メカニズムを検証・解析していく基盤ができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた動物実験の結果をもとに、新たな調節メカニズムを解明していく予定である。さらに今後はヒトにおける酸化ストレス関連遺伝子の調節メカニズムを解析し、臨床応用にむけたデザイン化を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究検体の分子細胞生物学的解析方法を年度途中微修正し、軌道に乗せることができ酸化ストレス調整因子も網羅的に解析することができたが研究計画が少し遅れてしまった。H30年度はより上流の調節メカニズムを解析していきたい。
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