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2017 年度 実施状況報告書

前立腺癌における不均一性と可塑性を標的とした新規バイオマーカー探索と新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 17K11158
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

小坂 威雄  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30445407)

研究分担者 本郷 周  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10626675)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード前立腺癌 / 血液循環腫瘍細胞 / 薬剤耐性 / cfDNA / リキッドバイオプシー
研究実績の概要

去勢抵抗性前立腺癌(Castration Resistant Prostate Cancer: CRPC)は難治性であり、新規治療戦略の確立は泌尿器科医に課せられた急務の課題である。CRPCにおける不均一性と可塑性ゆえ、一部の病巣の生検から得られる情報は一部のクローンのスナップショットに過ぎないと考えられるため、進展プロセスに応じた、新規オミックス情報の獲得は重要な課題である。本研究は不均一性と可塑性の解明と新規治療戦略のため、liquid biopsy検体と抗がん剤耐性ヒトCRPC細胞株細胞株から得られたオミックスデータを統合し、CRPCにおける患者個別化分子モニタリングのための新規バイオマーカー同定、遺伝子発現プロファイルからの新規薬剤スクリーニングを目的とし、平成29年度は、侵襲かつリアルタイムliquid biopsy システム(CTC )の確立を目標とした。 血液循環がん細胞はheterogeneityを内包する複数病変に由来しているため、ゲノム情報の全体像に近い情報を含むと考えられる。CTCを検出・回収して少量の細胞から遺伝子の発現解析が試みられ始めている。一般的に使用されるCTC回収システムは上皮性マーカーEpCAMを指標として回収している。しかしながら、がん細胞生物学的に上皮性腫瘍において転移の成立に重要な要因の一つとして考えられる間葉系への形質転換を考慮すると上皮性マーカーの発現は低下することが予測されている。これらの知見は、上皮性マーカーにのみに頼る現在主流のCTC回収システムは不十分で、解析対象となるCTCには難治性の要因となる真のCTCが存在していない可能性が示唆される。申請者は流体力学を応用した次世代の新規CTC回収システムを応用し、予備的検討によりマーカーで選別しない、ラベルフリーによるCTCの回収率向上に成功した(論文投稿中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CTCを検出・回収して少量の細胞から遺伝子の発現解析が試みられ始めている。一般的に使用されるCTC回収システムは上皮性マーカーEpCAMを指標として回収している。しかしながら、がん細胞生物学的に上皮性腫瘍において転移の成立に重要な要因の一つとして考えられる間葉系への形質転換を考慮すると上皮性マーカーの発現は低下することが予測されている。これらの知見は、上皮性マーカーにのみに頼る現在主流のCTC回収システムは不十分で、解析対象となるCTCには難治性の要因となる真のCTCが存在していない可能性が示唆される。申請者は流体力学を応用した次世代の新規CTC回収システムを応用し、マーカーで選別しないラベルフリーによるCTCの回収率向上に成功し、上司製マーカーの発現の低下したCTCの回収・発現解析に成功した(論文投稿中)。

今後の研究の推進方策

今後は liquid biopsy システムの中で、cfDNAのシステムの確立を進める:cf-DNAについては、その回収効率、微量なDNAからの効率的な増幅、そしてその解析方法、最適化についても妥当性の議論は始まったばかりであり前立腺癌やCRPCにおける意義付けはほとんどなされていない。一般に担がん患者では健常人に比較して、cf-DNAの量が多いとされているが、市販キットを用いた抽出血漿中のcf-DNAは、転移性・再発性前立腺がん患者において、非担がん患者に比較してcf-DNAの量が多いことを確認した。検討症例を増やして、NGS解析のプラットフォームを確立する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Prognostic significance of grade 3/4 neutropenia in Japanese prostate cancer patients treated with cabazitaxel.2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaka T, Shinojima T, Morita S, Oya M.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/cas.13556.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reactive oxygen species induction by cabazitaxel through inhibiting Sestrin-3 in castration resistant prostate cancer.2017

    • 著者名/発表者名
      prostate cancer. Kosaka T, Hongo H, Miyazaki Y, Nishimoto K, Miyajima A, Oya M.
    • 雑誌名

      Oncotarget.

      巻: 8(50) ページ: 87675-87683.

    • DOI

      10.18632/oncotarget.21147.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Vasohibin-1 as a novel microenvironmental biomarker for patient risk reclassification in low-risk prostate cancer.2017

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi H, Kosaka T, Mikami S, Miyazaki Y, Matsumoto K, Kikuchi E, Miyajima A, Kameyama K, Sato Y, Oya M.
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 9(12) ページ: 10203-10210

    • DOI

      10.18632/oncotarget.23011.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 前立腺癌におけるLiquid Biopsyの現状と課題2017

    • 著者名/発表者名
      小坂威雄、大家基嗣
    • 学会等名
      第82回日本泌尿器科学会東部総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 有効性と安全性の狭間から見えてきたカバジタキセル使用の実際2017

    • 著者名/発表者名
      小坂威雄、篠島利明、森田伸也、大家基嗣
    • 学会等名
      第82回日本泌尿器科学会東部総会
    • 招待講演
  • [学会発表] BCL6を標的としたエンザルタミド耐性去勢抵抗性前立腺癌克服戦略2017

    • 著者名/発表者名
      本郷周、小坂威雄、宮崎保匡、菊地栄次、大家基嗣
    • 学会等名
      第76回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 上皮間葉移行に着目したカバジタキセル耐性去勢抵抗性前立腺癌克服戦略2017

    • 著者名/発表者名
      本郷周、小坂威雄、菊地栄次、宮嶋哲、大家基嗣
    • 学会等名
      第21回日本がん分子標的治療学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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