研究課題/領域番号 |
17K11159
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383824)
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研究分担者 |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20338180)
篠島 利明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60306777)
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70245570)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
平成29年度は血清遊離DNA、RNAを用いたリアルタイムPCR解析を行うことを目標として各種条件設定を行った。具体的にはまず収集した検体に対応する手術摘出検体のHE染色切片を再評価して組織が腎細胞癌組織であることを確認した。さらにはキットを用いてコントロール血清からDNAとRNAの抽出を行った。プロテインキナーゼKの作用時間をやや長めに設定することでRNAではA 260/280値が2.0以上、DNAではA260/280値が1.8以上の、十分に純度が高い核酸が抽出できることを確認した。さらに、RNAを逆転写してハウスキーピングジーンのPCRで増幅可能であることを確認した。DNAに対しても反復配列(ALU)を増幅させるプライマーを用いてPCRを行い、今後のvalidation study等にも使用できるクオリティであることを確認した。また、VEGF、PD-L1、VHLの発現している腎癌細胞株を陽性コントロールとして使用して細胞株間の遺伝子発現状況の違いを検討した。この解析によって腎癌細胞株におけるVHLの発現とPD-L1の発現に相関がある可能性が示唆された。また、同時に臨床データベースの構築を行った。臨床データベースの解析により本コホートにおけるファーストライン開始から病勢進行までの中央値が12ヶ月、全生存期間中央値が40ヶ月程度であることが明らかとなった。この臨床データベースと血清遊離DNA、RNAマーカーを組み合わせた解析を今後予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に予定していた血清遊離DNA、RNAを用いたリアルタイムPCR解析は予定通りには完了できなかった。これは血清から抽出したDNA、RNAが断片化されていることから、通常のプライマーを使用したPCRでは検出が困難であったためである。これを解決するためにPCR産物を120bp程度に設定したアッセイを行うこととした。断片化されているサンプルでも使用できるようにプライマーデザインをしなおしたため時間を要したが、すでにこの問題は解決されており、2ヶ月程度で予定通りの進捗に到達する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はVHL/VEGF および PD-L1 経路スコアを組み入れた薬剤別治療効果の検討と新規治療アルゴリズムの確立を目標としている。このアルゴリズムには臨床的リスク分類の使用を前提としているが、臨床情報データベースとリキッドバイオプシーのスコアを組み合わせた解析を行う。現状ではベースラインのヘモグロビン値、乳酸デヒドロゲナーゼ値、補正カルシウム値、チロシンキナーゼ阻害剤投与開始までの期間、パフォーマンスステータスが独立した病勢進行までの期間を予測する因子として用いられているのでこれらを利用する。
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