研究課題/領域番号 |
17K11159
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383824)
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研究分担者 |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20338180)
篠島 利明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60306777)
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70245570)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2019年4月現在、日本国内で転移性腎細胞癌に承認されている分子標的薬は8剤存在するが、いずれの分子標的薬も適応は「根治切除」不能又は転移性の腎細胞癌」とされており、個々の症例に対して担当医が治療薬を決定しているのが現状である。高額な新規薬剤が保険診療で使用されていることもあり、良好な治療反応が期待できる症例の選別に有効なバイオマーカーなどの同定は喫緊の課題である。本研究では転移性腎細胞癌に対する新規薬物療法アルゴリズムの確立を目的とした基礎研究を行う。 平成30年度は、血清遊離DNA、RNAを用いたリアルタイムPCR解析の最終条件設定とパイロットスタディを行うことを目標として研究を行った。PD-L1、VHLを発現している腎癌細胞株であるS-TFEを陽性コントロールとして使用して、まずはリアルタイムPCRアッセイの最終条件を設定した。この設定時の研究によって腎癌細胞株に対するサイトカイン刺激によってPD-L1の発現が更進することが明らかとなった。すなわち炎症性サイトカインとPD-L1の発現に相関がある可能性が示唆された。また、同時に臨床データベースの構築を進めた。臨床データベースの解析により、本コホートにおけるファーストラインの予後予測因子としてベースラインの血清中C反応性蛋白高値が明らかとなった。この臨床データベースと血清遊離DNA、RNAマーカーを組み合わせた解析を最終年度に予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度に予定していた血清遊離DNA、RNAを用いたリアルタイムPCR解析は陽性コントロールの設定などは予定通りには完了できた。パイロットスタディとして血清サンプルを使用したアッセイを行うことを予定していたが、まずは組織検体での確認を追加したため時間を要した。組織での確認は終了したので、2ヶ月程度で予定通りの進捗に到達する。平成30年度はVHL/VEGF および PD-L1 経路スコアを組み入れた薬剤別治療効果の検討と新規治療アルゴリズムの確立を目標としており、炎症性サイトカインとPD-L1の発現に相関があることが示唆された。炎症性サイトカインを組み込んだリスク分類を検証し、論文発表している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は臨床データと組み合わせた更なる予後解析を行うことを目標としている。臨床情報データベースとリキッドバイオプシーのスコアを組み合わせた解析を行う。現状ではリキッドバイオプシー用検体が投与前のベースラインのみの収集となっているので、最大治療効果時の検体なども追加して、解析のクオリティを上げるのを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定だった試薬の値段が下がったので差額が生じた。翌年度の試薬購入に使用することとする。
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