研究実績の概要 |
本研究では腎細胞癌稀少組織型について以下の成果を上げた。1. MiT転座型腎細胞癌の臨床病理学的検討:Xp11.2/TFE3転座型腎細胞癌におけるTFE3遺伝子の転座パートナーとしてEWSR1を見出し、同症例について臨床病理学的検討を加えた(Furuya, Nagashima et al., 2019, 2020)。2. 透析関連腎細胞癌の臨床病理学的検討:標本を見直し、WHO2016年分類に準拠して再分類した。新鮮凍結材料からエピジェネティック解析を行い,非透析腎細胞癌と異なるパターンを見出した(Ishihara, Nagashima et al., 投稿中)3.酵素遺伝子異常による腎癌の臨床病理学的検討:fumarate hydratase(FH)欠損性腎細胞癌について症例を見直し、多数例を見出した。一般に若年発症とされるが、高齢者にも発生すること、予後不良であり、腎部分切除時には慎重なフォロー、追加治療の必要があることを見出した(Furuya, Nagashima et al., 投稿中)。4.嫌色素性腎細胞癌に関わる国際共同研究: Zurich大学のほか国内多数施設と検討を行い、壊死と類肉腫変化が強力な予後不良因子であること、好酸性亜型よりも古典的亜型がより染色質血室が高頻度であることを示した(Ohashi, Nagashima et al., 2019)5. その他:全国から腎腫瘍病理診断コンサルテーションを受け(2019年度実績 123例)、病理診断を行った。うち数例について症例報告論文を出版した(Toriyama, Nagashima et al., 2019: Miura, Nagashima et al., 2020; Sugimoto, Nagashima et al., 2020など)。長嶋は腎癌取扱い規約の改訂作業に病理部門委員長として参加した。
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