研究課題
本研究では、尿路悪性腫瘍の微小環境における特有のアミノ酸代謝リプログラミング機構およびオートファジー誘導の機序を解明し、同現象と抗癌薬耐性および免疫抑制現象との関連を明らかにすることで、進行癌の飢餓環境における生存に重要なマーカーおよび新規治療体系を確立することを目的とした。主要計画していた、前立腺癌組織のL-type amino-acid transporter 1(LAT1)およびLAT3 と病理学的悪性度の関連が導き出せず、継続を断念した。一方、腎細胞癌の血清、尿、組織中キヌレニン/トリプトファン比(KTR)と病理学的悪性度や予後に相関傾向を認め、KTRの調整にはtryptophan 2,3-dioxygenase (TDO)の発現、機能が重要であり、さらに、転移性腎細胞癌患者に対する免疫チェックポイント阻害薬に対する治療抵抗性とTDOの発現との間に強い相関関係を発見し、報告した(Sumitomo M et al. Cancer Sci. 2021)。前立腺癌に関する不随研究として、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC) 中に発現するα-methylacyl-CoA racemase (AMACR)とアンドロゲン受容体(AR)のsplice variantのARV7との相互作用に着目し、AMACRの抑制によってCRPC細胞株のDocetaxel感受性を増強させることを発見し、報告した (Yoshizawa A, Sumitomo M et al.Prostate Int. 2021)。現在、前立腺癌や腎細胞癌組織中のグルタミン経路に異常がある可能性を見いだし、この系に重要なタンパク発現として、Alanine, Serine, Cysteine Transporter 2 (ASCT2)の役割に着目して研究を継続中であり、各種学会、研究会で成果を報告している。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Cancer Sci
巻: 112 ページ: 1038-1047
10.1111/cas.14797
Prostate Int.
巻: 9 ページ: 18-24
10.1016/j.prnil.2020.07.001