研究課題/領域番号 |
17K11165
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
デベラスコ マルコ 近畿大学, 医学部, 助教 (20449838)
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研究分担者 |
植村 天受 近畿大学, 医学部, 教授 (90213397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 遺伝子改変マウスモデル / PTENノックアウト / トランスクリプトーム解析 |
研究実績の概要 |
我々が開発した前立腺組織でのみPTEN遺伝子をノックアウトしたPTEN flox/PSA-Creの遺伝子改変(GEM)マウス前立腺癌モデルにおいて、前立腺癌のアンドロゲン感受性および非感受性癌について、Affymetrix Mouse Transcriptome Assayを用いて遺伝子発現およびRNA alternative splicing分析を行い、治療のターゲットおよびバイオマーカーの候補となるnon-cording RNA分子を同定し、その有用性について機能解析および治療実験を行ってきた。 昨年度のトランスクリプトーム解析結果から、アンドロゲン依存性癌とアンドロゲン非依存性癌の炎症性反応を比較検討してみたところ、免疫関連遺伝子の変化が有意であり、去勢抵抗性前立腺癌が免疫原性の高い腫瘍であることがわかった。その結果から、種々の抗アンドロゲン薬や分子標的薬治療における腫瘍の免疫関連遺伝子の変化について、検討している。これらの一部の結果は本年4月に開催された、アメリカ癌学会(シカゴ)および日本泌尿器科学会総会(京都)にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンディショナルPTEN homo deletionマウス前立腺癌モデルから、①無治療(アンドロゲン依存性癌)、②抗アンドロゲン薬治療後、③除精術後(アンドロゲン非依存性癌)について、トランスクリプトーム解析を行った。莫大なデータの中から、クラスター解析を行い、まず炎症に関与する遺伝子に注目し、治療や除精術により、腫瘍の免疫環境の変化について有意に変化することを見出し、報告した。現在、分子標的治療を含め、検討中である。また、極めて悪性度の高いPTEN/p53ダブルノックアウトマウス前立腺癌についても同様の検討をした。莫大なデータであるが、重要と思われる分子がある程度同定されており、AACRやJCAにて学会報告も行われていることから、本研究は順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況でも言及したが、現時点で重要と思われる分子がある程度同定されており、その有用性の検証を行う作業に入っている。種々の治療による変化や腫瘍そのものだけでなく、腫瘍浸潤免疫担当細胞のFunctionなどに関するリサーチを行っていく予定である。
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