研究課題
我々が開発した前立腺組織でのみPTEN遺伝子をノックアウトしたPTEN flox/PSA-Creの遺伝子改変(GEM)マウス前立腺癌モデルにおいて、前立腺癌のアンドロゲン感受性および非感受性癌について、Affymetrix Mouse Transcriptome Assayを用いて遺伝子発現およびRNA alternative splicing分析を行い、治療のターゲットおよびバイオマーカーの候補となるnon-cording RNA分子を同定し、これまでに機能解析および治療実験を施行し、種々の結果を得た。これまでの解析結果から、アンドロゲン依存性癌とアンドロゲン非依存性癌の炎症性反応を比較検討してみたところ、免疫関連遺伝子の変化が有意であり、去勢抵抗性前立腺癌が免疫原性の高い腫瘍であることがわかった。その結果から、種々の抗アンドロゲン薬や分子標的薬治療による腫瘍の免疫微小環境の変化について、我々の開発した前立腺癌マウスモデルを用いて検討している。これらの一部の結果は昨年9月と本年4月に開催された、日本癌学会(大阪)およびアメリカ癌学会(アトランタ)にて報告した。
2: おおむね順調に進展している
昨年から続けてきたコンディショナルPTEN homo deletionマウス前立腺癌モデルを用いた治療研究から、トランスクリプトーム解析の莫大なデータの中から、クラスター解析を行い、まず炎症に関与する遺伝子に注目し、AR標的治療や除精術により、腫瘍の免疫環境の変化について、より詳細な検討を行い報告した。現在、分子標的治療や免疫チェックポイント阻害薬による腫瘍内微小免疫環境の変化について、種々の方法を用いて検討中である。一部の結果を昨年の日本癌学会(大阪)、AACR2019(アトランタ)や日本泌尿器科学会(名古屋)にて報告できており、本研究は順調に進んでいると考える。
進捗状況でも言及したが、現時点で順調に結果を報告できている。今後は、各種治療による腫瘍浸潤免疫担当細胞のFunctionなどに関するリサーチを行っていく予定である。
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