研究課題/領域番号 |
17K11167
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研究機関 | 東京都立駒込病院(臨床研究室) |
研究代表者 |
古賀 文隆 東京都立駒込病院(臨床研究室), 腎泌尿器外科, 部長 (10285851)
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研究分担者 |
元井 亨 東京都立駒込病院(臨床研究室), 病理科, 医長 (50291315)
竹村 公佑 東京都立駒込病院(臨床研究室), 腎泌尿器外科, 後期臨床研修医 (60810942)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 上部尿路上皮癌 / 筋層浸潤 / 予後 / SII |
研究実績の概要 |
補助事業期間中に、①筋層浸潤性膀胱癌において膀胱温存を目的に施行される化学放射線療法の治療効果が分子サブタイプ分類と関連すること、②尿路上皮癌 から肉腫様癌への表現型以降に癌幹細胞が関与している可能性を論文報告した。近年、尿路上皮癌(UC)研究領域において分子サブタイプ分類は十分に知見が蓄積されてきた。このような背景もあり、UC診療において実用的な探索的研究にも着手している。 上部尿路上皮癌の臨床T病期診断は、画像診断技術が向上した現在においてもなお、診断精度が低いという問題点がある。精度の高い臨床T病期予測と術前因子による予後予測は、転移のない上部尿路上皮癌に対する手術療法に際し、それぞれ領域リンパ節郭清と術前化学療法の適応決定に有用と想定される。そこで、好中球数*血小板数/リンパ球数で算出されるsystemic immune-inflammation index (SII) を組み込んだ予測モデルを作成し、論文報告した。103例の腎尿管全摘除実施症例を対象に術前因子による筋層浸潤癌予測モデルと癌死予測モデルを作成した。筋層浸潤癌予測モデルは SII>677と画像診断での臓器外浸潤が有意な因子として同定され、予測精度(AUC)は0.804であった。一方、癌死予測モデルは SII>520, performance status>0, 画像診断での臓器外浸潤が有意な因子であり、予測精度はAUC 0.843 であった。術前因子による本予測モデルは、上部尿路上皮癌の所属リンパ節郭清や術前化学療法の適応決定に有用と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膀胱癌の分子サブタイプと化学放射線療法治療効果との関連、尿路上皮癌の癌肉腫への分化に幹細胞が関与する可能性を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
実臨床では簡便性、客観性のある実用性の高い病態予測モデルの開発が望まれる。UCの分子生物学的、病理学的背景、画像所見、患者の免疫炎症状態に立脚した簡素かつ実用的な病態 予測モデル の作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
尿路上皮癌の筋層浸潤を含む病態予測に有用な臨床的バイオマーカーを探索し、実用可能なモデルを作成する。
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