研究課題/領域番号 |
17K11168
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
宮城 洋平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 所長 (00254194)
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研究分担者 |
小井詰 史朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (60416063)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 前立腺がん / 低酸素 / 低栄養 / 早期診断マーカー / GPCR / 進行度 |
研究実績の概要 |
申請者らが見出した「がん組織の脂質欠乏低酸素環境」は、一般的にがん組織の成長と並行して進行する微小環境で、この環境下で特異的に発現誘導される分子は、がんの進行度が予測できるマーカー、つまり、治療対応が必要な初期進行前立腺がんの診断マーカー/治療分子標的となる可能性がある。本研究では、「脂質欠乏低酸素環境」で発現誘導される遺伝子群から、10倍以上の発現上昇が見られるGタンパク質共役型受容体分子(仮称:GPCR-X)に着目して研究を進めた。GPCR-Xの前立腺がん細胞における機能は未知であるが、診断のみならず、治療の分子標的としても期待できる。 初年度から複数の市販抗体の検定(研究に使える抗体がないと判明)、種々の方法での独自の抗体作製を試みていたが、予想以上に7回膜貫通のGPCRに対する抗体作製は困難で、研究に使用可能な抗体が得られなかった。そこで、最終年度である本年度は、GPCR-Xの発現解析をin situ hybridization によるmRNAレベルで検証することとし、実際の外科切除前立腺がん組織や、前立腺がん針生検組織でGPCR-X mRNAが、がん細胞の細胞質内に存在することを実際に確認した。受容体膜タンパクであるGPCR-Xが細胞外小胞(extracellular vesicles、 EVs)に取り込まれ細胞外へ分泌されることを想定して、診断の血液マーカーになると期待していた。タンパク質レベルの解析ができないため、培養細胞が分泌するEVsのmRNAを解析したが、検出感度以下であった。GPCR-Xの前立腺がん細胞の性質に与える影響の解析を、前立腺がんLNCaP細胞のGPCR-X遺伝子をノックアウトした細胞を作製し、RNAseqによるmRNA発現プロファイルの網羅的解析を進めGPCR-X の機能に関わる遺伝子の候補を複数得ることができた。
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