研究課題
【背景と目的】内分泌かく乱化学物質(EDCs)一部にはエストロゲン受容体(ER: estrogen receptor)アゴニスト作用を有する化学物質が存在するが、胎児期にこのようなEDCsへの曝露がいかなる影響をあたえるのかについては未だ不明な点が多い。第2指と第4指の比(2D:4D)は胎児期性ホルモン曝露の指標とされ、女性よりも男性で低値となり身体的性分化の一表現型と考えられているが、2D:4Dと胎児期EDCs曝露やエストロゲン受容体(ER)遺伝子一塩基多型(SNP)との関連は不明なままである。本研究は、ESR1遺伝子SNPによる2D:4Dへの影響を検討するとともに、ERアゴニスト作用を持つEDCsであるフタル酸エステル類およびビスフェノールA(BPA)の胎児期曝露とESR1遺伝子SNPが2D:4Dに与える影響を評価することを目的とした。【対象と方法】2003年5月-2006年11月までに出生し7歳時の2D:4D および臍帯血からESR1遺伝子SNPが評価された1800人のうち妊娠初期母体血液中のフタル酸エステル類およびBPA濃度を測定していた623人を対象とし、胎児期曝露、遺伝子多型および2D:4Dとの関連を検討した。【結果】2D:4Dは男児が女児よりも有意に低かった。フタル酸エステル類およびBPA濃度と2D:4Dとの間に関連は認めなかった。rs2077647において、フタル酸エステル類高曝露群かつAG/GG型を持つ男児が、低曝露群かつAA型を持つ男児と比較して2D:4Dが1.51%上昇していた。【結論】rs9340799は2D:4Dに影響を及ぼしていた。胎児期フタル酸エステル類曝露がrs2077647Gアレル持つ男児の2D:4Dに影響を認めた。このことから、胎児期EDCsの性ホルモンへの影響は、性別およびSNPに影響を受ける可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
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