研究課題/領域番号 |
17K11174
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
相澤 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80595257)
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研究分担者 |
井川 靖彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40159588)
本間 之夫 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (40165626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 求心性神経 / 下部尿路閉塞 / 慢性前立腺炎 / ラット |
研究実績の概要 |
前立腺肥大症と慢性前立腺炎の症状発症(特に知覚路)機序解明を目指し、下部尿路部分閉塞(BOO)モデルおよび慢性前立腺炎モデルを用いて、検討を進めている。 BOOモデルラットにおいて、膀胱伸展に応答する一次求心性神経活動を測定すると、Aδ線維の活動性は低下し、C線維の活動性は不変であった。加えて、BOOモデルラットでは、筋原性由来の膀胱微小収縮が有意に増強しており、興味深い事に、Aδ線維およびC線維の両神経活動は、微小収縮の特に上昇期に同期して、間歇的に増大していた。この結果、BOOモデルラットにおいては、増強した膀胱微小収縮に同期して、Aδ線維とC線維の両者の活動性が間歇的に増大することを見出し、論文報告した。 この発見は、下部尿路閉塞に伴う過活動膀胱における尿意切迫感の発生機序解明の糸口になるものと考えており、引き続き分子レベルの検討を続けている。 一方、慢性前立腺炎モデルラットについては、2種類の系統ラット(SDおよびWistar)において、ホルマリンを前立腺に局所注射する手法(Prostate 2014;74:337-45, Prostate 2017;77:803-11)を用いて、経時的排尿行動測定(FVC)および組織学的評価を行い、モデル動物としての妥当性を検討した。 結果として、いずれの系統のラットを用いても、FVCにおいては、顕著な頻尿等の排尿行動変化を認めず、前立腺の病理組織学的評価においては、炎症細胞の浸潤も認めず、モデル動物としての妥当性を見出していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BOOモデルラットについては、論文報告もあり、順調に進んでいる。 他方、慢性前立腺炎モデルラットについては、既報通りの作成手順を用いて、前立腺内ホルマリン注入による慢性非細菌性前立腺炎モデルラットの妥当性を検討したが、排尿行動および病理組織学的検討では、頻尿の発現および前立腺の炎症を明瞭に確認できず、今回の我々の検討からは、本モデルを慢性非細菌性前立腺炎モデルとして用いる妥当性を見出すことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
BOOモデルラットについては、今後は分子レベルの検討を行う予定である。 慢性前立腺炎モデルラットの確立のため、現在、異なった作成手法を用いたモデル動物が存在するか否か、文献や学会発表等で情報収集につとめており、有用なモデルを検討中である。候補として、Complete Freund’s Adjuvant (CFA)を用いた自己免疫系前立腺炎モデルが挙げられており、このモデルの詳細を検討中である。
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