研究課題
本研究は、夜間頻尿、夜尿症と時計遺伝子多型の異常を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、外来患者の尿中に含まれる尿路上皮細胞を採取し、下部尿路症状と各種チャネル発現との相関関係を解析した。この研究により、尿中の尿路上皮細胞を用いることにより、LUTSの病態解明や非侵襲的かつ簡便なあらたなマーカーの発見につながる可能性があることが分かった。平成30年度は、平成29年度の研究を発展させ、外来患者の尿中に含まれる尿路上皮細胞を採取し、RT-PCR法を用いてコネキシン(Cx)とTRPチャンネルの各サブタイプのmRNA発現量を測定し、国際前立腺症状スコア(IPSS)、過活動膀胱症状スコア(OABSS)などの下部尿路症状に加えて、尿流動態検査(UDS)との関連性について検討を行った。上記チャネル発現との相関関係を解析した。初期尿意とCx26(r=0.321/p=0.043)、無抑制収縮とCx26(r‐0.329/p=0.038)・TRPV4(r‐0.316/p=0.047)、最大尿意とTRPM2(r=0.393/p=0.012)、最大排尿筋収縮力とTRPM2(r=0.372/p=0.018)が、有意に相関を認めた。一方、その他のチャネルの発現は有意な相関を認めなかった。以上より、UDSのパラメータと尿中細胞上のCx26・TRPM2/V4の発現に関連があることが確認できた。本検討結果から、尿中細胞上の分子マーカーの発現はUDSに代わる診断ツールとなる可能性が考えられた。一方、時計遺伝子については、尿中細胞のRNA量が少なく十分な解析ができなかった。来年度以降は、夜間頻尿群、コントロール群における対象者の採取した血液検体を用いて時計遺伝子の多型と夜間頻尿の関係について検討を進めていく。
4: 遅れている
尿検体の採取は行うことができたが、十分な血液検体を集めることができなかった。尿中の尿路上皮細胞のRNA量が少なく、十分な解析ができなかった。
現在、尿検体、血液検体の採取を行っている。より多くの尿検体と血液検体を集め、時計遺伝子、伸展受容体の遺伝子について解析を行う。
平成30年度は、尿検体、血液検体の採取を行ったものの、血液検体が十分に集めることができなかった。本年度は、平成30年度分に加えて、より多くの尿検体と血液検体を集め、時計遺伝子、伸展受容体の遺伝子について解析を行う予定である。
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