研究課題/領域番号 |
17K11176
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
姚 建 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50303128)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膀胱 / TRPV4 / コネクシン / チャネル / 間質膀胱炎 / 免疫染色 |
研究実績の概要 |
TRPV4チャネル及びコネキシン43(Cx43)チャネルは、膀胱の機能調節に重要な役割を果たしている。これらのチャネルはシクロホスファミド(CYP)による膀胱炎の機能亢進に関与しており、これらを阻害することで過活動膀胱症状が緩和されることが報告されている。なぜ、二つの異なるチャネルが同じように膀胱の機能を調節しているか未だ解明されていない。我々は、TRPV4とCx43チャネル間に密接な相互作用が存在することにより膀胱の機能を調節していると考えている。今回の研究は、この仮説を検証することを目的としている。29年度は、膀胱におけるCx43およびTRPV4チャネルの発現及び調節について検討した。得られた結果は以下の通りである。 1)正常マウス膀胱にコネキシン43及びTRPV4チャネルが存在することを、免疫染色およびウェスタンblotで明らかにした。膀胱の上皮細胞にコネキシン43及びTRPV4チャネル両方が高く発現していることを確認した。 2)CYPを腹腔内に投与することで間質膀胱炎モデルマウスを作成し、膀胱組織中のコネキシン43及びTRPV4の時間的および空間的な変化を観察した。CYPによる間質膀胱炎の組織にTRPV4、Panx1、Cx43タンパク質の発現レベルが増加していることが確認できた。 以上のことから、CYPによる膀胱炎の発症における病態生理にこれらのチャネルが関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は計画通り進んでいる。29年度の研究結果は、マウス膀胱においてTRPV4及びコネキシン43(Cx43)チャネルが存在すること、及びシクロホスファミド(CYP)刺激によって両者が高く発現していることを明らかにした。このことにより、次年度にはチャネル間相互作用の解明に繋がる根拠が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策: 1. CYP代謝産物であるアクロレインまたはTRPV4チャネルagonistによる膀胱尿路上皮細胞の細胞反応におけるCx43 / Panx1チャネルの役割を明らかにする。化学的なCx43/ Panx1阻害剤、模倣ペプチド、また特異的siRNA処理によって、TRPV4 agonist及びアクロレインが誘導された細胞反応の変化を観察し、チャネル間相互作用の存在とその役割を明らかにする。 2. チャネル間相互作用を調節する治療戦略を確立する。副作用が少なく、経済的で、投与しやすい臨床応用可能な多チャネル阻害剤を探索する。特に臨床医学において治療薬として安全性が検証された薬剤を複数候補とし、異常な膀胱収縮への多チャネル阻害による効果を検討する。現在よく利用されているconnexin/pannexinの阻害剤である carbenoxoloneを使用して膀胱組織と機能について、膀胱炎症のモデルにおける治療効果を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
注文した実験試薬の納品が3月末まで間に合わず、年度内の購入を断念し、次年度の購入を計画している。
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備考 |
http://nerdb-re.yamanashi.ac.jp/Profiles/322/0032110/profile.html
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