研究課題
再生能力をもっている幹細胞の採取部位であるが、これまでは実験動物の大腿骨の骨髄から採取した幹細胞を使用していた。しかし、骨髄から幹細胞を採取することは、臨床応用の面から考えると侵襲が大きいと思われるため、腹腔内の余剰脂肪組織から幹細胞を分離培養することを試み、成功した。その後、シート状に培養増殖させて、積み重ねることによって、幹細胞の多層化を試みた。しかし、シート状の構造体を重ねる手法では、重ねるにつれて、重ねた構造体の内部に酸素、栄養が入らなくなり培養幹細胞の死滅を認めたため、この手法には限界があることが判明した。そのため、3Dプリンター技術を応用した立体構造体を作製できるCyfuse社のKENZAN(商標名)を使用して、実験動物のラットもしくはラビットの腹部脂肪組織より分離した幹細胞を採取後に培養増殖し幹細胞の立体構造体を作製した。その構造体をラットの凍結傷害による膀胱、もしくはラビットの焼灼損傷した尿道に移植した。構造体が生着したかの確認は、通常の顕微鏡、および蛍光顕微鏡を用いて組織学的に再生を確認した。その後、膀胱および尿道内圧検査などの手法を用いた機能的な膀胱および尿道の再生を確認した。今後の研究の推進としては長期経過観察とともに、効率的な構造体を作る核となる幹細胞の集合体を、効率的に作成するかを検討する。および、同様の技術を応用して、尿管の再生を念頭において、3D管腔状構造体の作製を試みることを検討している。
2: おおむね順調に進展している
再生能力をもっている幹細胞の採取部位であるが、骨髄以外に腹腔内の脂肪組織から幹細胞を分離培養することに成功した。その後、シート状に培養増殖させて、積み重ねることによって、幹細胞の多層化を試みた。しかし、重ねた構造体の内部に酸素、栄養が入らなくなり培養幹細胞の死滅を認め、本手法には限界があることが判明した。そのため、近年、注目されている3Dプリンター技術を用いて立体構造体を作製できるCyfuse社のKENZAN(商標)を使用して、幹細胞の立体構造体を作製し、構造体内部にも酸素、栄養が入るように考案した。その立体構造体をラットの損傷膀胱、もしくはラビットの損傷尿道に移植し、組織学的に再生を確認した。本研究はおおむね順調に進展している。
再生された膀胱および尿道の長期経過観察を行う。また、効率的な構造体を作る核となる幹細胞の集合体を、いかに効率的に作成するかを検討する。同様の技術を応用して、尿管の再生を念頭において、3D管腔状構造体の作製を試みることを検討している。その他、放射線照射もしくは薬剤投与によって傷害を与えた腎不全モデルを作製し、培養増殖幹細胞移植によって腎機能が再生できないかの検討を行う予定である。
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて物品費として使用する予定である。
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