研究課題
今回の研究は以下の手順で行った。実験動物の大腿骨骨髄より注射針で骨髄由来幹細胞を採取し15% fetal bovine 血清および抗生剤附加のDulberco Modified Eagle Medium の中に入れる。これらの細胞を遠心分離した後に、TypeⅠcollagen でコートした培養皿で7 日間初代培養した。培養皿上に接着伸展した骨髄由来幹細胞を集め、1層の細胞シートを作成した。次に培養途中の5 日目の時点で、Lipofectamine 2000 Reagent を使用し、GFP(Green fluorescenceprotein)発現遺伝子を培養細胞内にトランスフェクションしてマーキングした。シート状に培養した細胞シートを数層に重ね多層シートを作成した。膀胱漿膜側より-80℃のアイスバーで障害を受けた膀胱モデルの膀胱へ移植した。また、同様に膀胱内側より、-80℃のアイスバーで内尿道括約筋の障害を受けた腹圧性尿失禁モデルの尿道へ巻き付ける形での移植を行った。移植後3 日目、14 日目に膀胱および尿道を取り出し、Monoclonal anti-GFP 抗体、平滑筋特異抗体を使用して免疫二重染色を行い、レーザー蛍光顕微鏡で移植した細胞の分化、つまり、筋層をはじめとする膀胱および尿道括約筋の再生を観察した。また、14 日目においては、Acta2 primer を使用して、Real time RT-PCR 法にて定量測定し、骨髄幹細胞の膀胱平滑筋、内尿道括約筋への分化、尿道、括約筋の再生についての評価も定量的に行った。14 日目に膀胱および尿道括約筋を摘出しなかった別の移植動物群においては、覚醒下無拘束状態下での膀胱内圧検査を行うことによって、膀胱・尿道としての機能の再生を確認した。本研究により、障害を受けた膀胱・尿道の再生が可能であることが判明した。
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