研究課題/領域番号 |
17K11180
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
馬嶋 剛 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90625138)
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研究分担者 |
宮川 世志幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (90415604)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 遺伝子療法 / 排尿筋低活動 / 神経 / 再生 |
研究実績の概要 |
はじめに排尿筋低活動モデルについて検討した。オスラットを用いて、両側骨盤神経を圧挫することにより排尿筋低活動モデルを作成した。モデル作成後、半数以上のラットが尿閉状態となることが分かった。オスラットでは導尿手技は非常に難しく、モデル作成後多くのラットが膀胱破裂や、腎不全で死亡することが分かった。従ってメスラットを用いることに変更した。 メスラットを用いて、両側骨盤神経を圧挫することにより、2週後、4週後いずれも、膀胱内圧測定により、シャム手術を受けた群に比べて、排尿間隔の延長、排尿効率の低下、残尿量の増加が認められた。従って、排尿筋活動の最適なモデルと考えられた。 続いて、アデノ随伴ウイルスベクターの膀胱、骨盤神経節、後根神経節への導入効果について検討を行った。GFPを搭載したアデノ随伴ウイルスベクター1、5、6型を膀胱壁に注入し、1週間、2週間、4週間後に膀胱、後根神経節、骨盤神経節を採取した。それぞれの部位におけるGFPの発現について検討を行ったが、いずれのウイルス型も骨盤神経節において微量の発現が認められるだけであった。従って、これらのウイルスベクターでは目的とした遺伝子を効率よく導入することは困難と考えられた。 続いて、GFPを搭載した単純ヘルペスウイルスベクターを用いて膀胱壁に注入したが、後根神経節においてGFPの発現が認められた。しかしながら、以前我々が行った別のヘルペスウイルスベクター(ピッツバーグ大学において作成されたベクター)を用いた研究に比べて、有意に発現量が少なかった。これはベクター作成法に問題があると考えられたため、現在改良を重ねているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単純ヘルペスウイルスベクターがピッツバーグ大学で使用していたものと異なり、予想外に神経節への感染効率が悪く、次へ進めない状況でいる。現在改良を重ねているところである。
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今後の研究の推進方策 |
単純ヘルペスウイルスベクターの作製法を改良し、神経節への感染効率を高める。その後、排尿筋低活動モデルに対し、ニューロトロピン遺伝子を搭載した単純ヘルペスウイルスベクターを作成し、膀胱壁に注入する。膀胱内圧測定により排尿筋低活動の改善を評価する。また、圧挫した部位の神経を採取し、免疫染色し、神経再生の程度を評価する。また、膀胱における組織学的変化についても同様に免疫染色にて評価する。さらには、後根神経節、骨盤神経節などにおけるニューロトロピン遺伝子の発現量について解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に購入予定の消耗品が予定より少なく、次年度使用額が生じたが、次年度の消耗品購入に充てる予定である。
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