研究課題/領域番号 |
17K11184
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
渡邉 豊彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30432644)
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研究分担者 |
渡部 昌実 岡山大学, 大学病院, 教授 (70444677)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 再生医学 |
研究実績の概要 |
低活動膀胱(underactive bladder)は,膀胱収縮不全を基本病態とする,膀胱機能のいわば終末像である。現在有効的な治療は存在せず,世界的に見ても尿道カテーテルを留置されたまま放置されている患者も多く,倫理的また医療経済的にも問題となっている。患者の生活の質(QOL)は,著しく損なわれており,医学上の喫緊の課題である。米国をはじめとして本病態のメカニズムの解明,有効な治療法の確立へ向けた動きが活発となっている。従来の低分子化合物による膀胱収縮増強に期待する治療法では限界があり,近年,細胞治療,再生医学の応用へ向けた基礎研究ならびに臨床応用が期待されている。我々は従来より泌尿器科領域においてiPS細胞ならびに間葉系幹細胞を用いた再生医学の基礎研究を進めている。本研究の目的は,膀胱収縮力獲得を目的とした尿路平滑筋細胞の創出,さらに得られた平滑筋細胞移植による膀胱再生である。具体的方法論は,組織特異的幹細胞分離法を用いて間葉系幹細胞,排尿平滑筋幹細胞を誘導・分離し,これらの幹細胞としての特性をin vitroで検証する。さらに,誘導・分離した排尿平滑筋幹細胞を膀胱機能障害マウス・ラットモデルの膀胱へ移植するための効率の良い注入法を開発し,検証することである。また排尿平滑筋幹細胞ならびに平滑筋細胞をシート化することにより,膀胱機能障害マウス,ラット膀胱への移植法も視野に入れる。本年度は,排尿平滑筋幹細胞株樹立へ向けた基礎実験を行ない,間葉系幹細胞を用いた尿路平滑筋細胞分化への基礎的な実験を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
排尿機能を復活させ,排尿効率を求めた機能的な膀胱再生を本研究の最終目標に置いている。本年度は,排尿平滑筋幹細胞株樹立へ向け,間葉系幹細胞を用いた尿路平滑筋細胞分化への基礎的な実験を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
間葉系幹細胞を用いた基礎的実験では排尿平滑筋細胞への分化を確認できている。その基礎的な実験の過程において,平滑筋幹細胞に特異的なプロモーターを峻別しする必要性が認められた。尿路平滑筋細胞における発現活性を高める手法の確立へ向けた基礎的実験を行う予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度研究において,本年度は,排尿平滑筋幹細胞株樹立へ向け,間葉系幹細胞を用いた尿路平滑筋細胞分化への基礎的な実験を行なった。予定と比べて未使用額が生じたのは,平滑筋幹細胞に特異的なプロモーターを峻別するための実験を行ったが,分化効率の優れたプロモーターの特定までには至らず,それに関連した実験の一部が進まなかったためである。今年度の未使用額を次年度分にあてがい,引き続き研究目的の達成に向け実験を遂行する予定である。
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