研究課題/領域番号 |
17K11190
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
鳥本 一匡 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (10382293)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
藤本 清秀 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50264867)
三宅 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80601400)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膀胱吸収 / アクアポリン / ラット |
研究実績の概要 |
我々は、ラットを用いた実験を行っている。2017年度は、生理食塩水が膀胱で吸収されること、その機構にはアクアポリン2(AQP2)が関与していることを証明した。具体的には、生理食塩水を膀胱に注入した場合、機能的膀胱容量(約0.4 mL)を超えると吸収が始まる。尿の流入および流出を止めた膀胱に1.0 mLを注入して3時間経過すると、その容量は約20%減少した。その3時間で膀胱壁のAQP2の発現は増加するが、AQP2の発現を制御すると生理食塩水は吸収されなくなった。また、生理食塩水が吸収される際には、水に加えてNaも吸収された。2018年度は、膀胱での水吸収におけるナトリウム(Na)の関与について検証した。生理食塩水の代わりに5%ブドウ糖液で膀胱を充満させた場合、膀胱での吸収量は大きく減少した。また、5%ブドウ糖液ではAQP2の発現は増加しなかった。以上より、膀胱での水吸収機構として、膀胱充満による膀胱壁の伸展と膀胱内容液に含まれるNaによる尿路上皮の刺激がAQP2合成を促進すると考えた。2019年度(最終年度)は、Naが膀胱壁を通過する機構を解明する。その候補は、尿路上皮細胞に存在する上皮性Naチャンネル(ENaC)と尿路上皮細胞間隙に存在するクローディンである。生理食塩水による膀胱充満刺激で、ENaCおよびクローディンが発現変化をするのか、ENaC機能制御により吸収に変化が起こるのかを検証する。ラットの実験に加えて、将来ヒトでの膀胱吸収の存否を検証するための方法を確立するための予備実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験結果に基づいてわずかに計画を修正したが、着実に実験を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度(最終年度)は、Naが膀胱壁を通過する機構を解明する。その候補は、尿路上皮細胞に存在する上皮性Naチャンネル(ENaC)と尿路上皮細胞間隙に存在するクローディンである。生理食塩水による膀胱充満刺激で、ENaCおよびクローディンが発現変化をするのか、ENaC機能制御により吸収に変化が起こるのかを検証する。ラットの実験に加えて、将来ヒトでの膀胱吸収の存否を検証するための方法を確立するための予備実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ研究計画どおりに助成金を使用した結果、わずかな残額が生じた。残額は13,827円と少額であり、免疫組織化学に用いる抗体を購入する費用に補填する予定である。
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