尿路結石にあるGlaタンパク質Protein Zの石灰化および動脈硬化との関連

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 17K11191
• 研究機関: 帝京平成大学
• 研究代表者: 金子 希代子 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (90147075)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: Protein Z / 尿路結石 / Gla タンパク質 / COM結晶生成 / 石灰化

研究実績の概要

本研究では、尿路結石の微細分析により頻繁に検出されている血液凝固に関連する Glaタンパク質である Protein Z (PZ)の役割について調べるため『尿路結石にあるGlaタンパク質Protein Zの石灰化および動脈硬化との関連』という研究課題名で研究を遂行した。
平成29-30年度には、研究計画書に記載した通り、まず培養ヒト尿細管細胞表面におけるシュウ酸カルシウム一水和物（COM）結晶の成長および凝集を調べ、尿路結石から同時に検出されているオステオポンチン、プロトロンビンとの相互作用を検討し、COM結石形成との関連を確認した。各々のタンパク質単独の添加では変化が認められなかったが、PZとオステオポンチン、PZとプロトロンビンを同時に添加するとCOM結晶の生成が有意に増加した。
他の機序も検討するため、平成31年以降、さらに尿路結石の種類を膀胱結石や部位の異なる結石、さらに海生哺乳動物であるイルカの腎臓から採取した結石と広げて、それらの分析をX線回折分析法および赤外分光分析法を用いて、広範囲に実施した。その結果、石灰化の原因であるリン酸カルシウム（ハイドロキシアパタイト）が、COMを成分とするヒト尿路結石以外からも検出され、その役割に興味が持たれた。
令和2年度から新型コロナウイルス感染症の拡大のため、研究があまり進まない時期もあったが、少しずつ改善された。
また尿路結石症患者を対象として、血中および尿中のProtein Zの濃度を測定して健常人と比較していたので、最終年度にはそのまとめを行った。尿路結石症患者において、血中のPZ/総タンパク質比が低く尿中PZ濃度も低い傾向があったが、病態別に比較すると差は認められなかった。この成果は現在投稿中（International Journal of Urology)である。

研究成果

• [雑誌論文] Possible contribution of phosphate to the pathogenesis of chronic kidney disease in dolphins. (2023)
  • 著者名/発表者名: Nourin Jahan, Hiroyuki Ohsaki, Kiyoko Kaneko, Asadur Rahman, Takeshi Nishiyama, Makoto Koizumi, Shuichiro Yamanaka, Kento Kitada, Yuki Sugiura, Kenji Matsui, Takashi Yokoo, Takayuki Hamano, Makoto Kuro-O, Takuya Itou, Miwa Suzuki, Keiichi Ueda, Akira Nishiyama
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 13 ページ: 5161
  • DOI: 10.1038/s41598-023-32399-6
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Purine content of hospital meals and its effect on serum uric acid, urine pH, and urinary uric acid excretion. (2022)
  • 著者名/発表者名: Fukue Takayanagi, Takuya Uchino, Tomoko Fukuuchi, Noriko Yamaoka, Natsumi Motoki, Kanae Uchida, Hitomi Asakura, Kiyoko Uno-Eder, Takahiro Nomura, Kazuhisa Tsukamoto, and Kiyoko Kaneko
  • 雑誌名: Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids 巻: 41 ページ: 1296-1304
  • DOI: 10.1080/15257770. 2022.2106492
  • 査読あり
• [雑誌論文] Determination of total purine and free purine content in milk, soymilk, and enteral nutritional supplements to assist nutritional therapy for hyperuricemia and gout. (2022)
  • 著者名/発表者名: Tomoko Fukuuchi, Itsuki Itahashi, Fukue Takayanagi, Noriko Yamaoka, Kiyoko Kaneko
  • 雑誌名: Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids 巻: 41 ページ: 1287-1295
  • DOI: 10.1080/15257770. 2022.2093362
  • 査読あり
• [雑誌論文] Xanthinuria type 1 with a novel mutation in xanthine dehydrogenase and the normal endothelial function (2022)
  • 著者名/発表者名: Satoshi Miyazaki, Shinobu Sugihara, Einosuke Mizuta, Toshihiro Hamada, Yusuke Endo, Akira Ohtahara, Masanari Kuwabara, Tomoko Fukuuchi, Kiyoko Kaneko, Kimiyoshi Ichida, Kazuhide Ogino, Haruaki Ninomiya, Kazuhiro Yamamoto, and Ichiro Hisatome
  • 雑誌名: Intern Med 巻: 61 ページ: 1383-1386
  • DOI: 10.2169/internalmedicine.7897-21
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 尿pHを考慮した高尿酸血症・痛風患者の食事療法について (2023)
  • 著者名/発表者名: 髙栁ふくえ、福内友子、山岡法子、金子希代子
  • 学会等名: 第56回 日本痛風・尿酸核酸謝学会総会
  • 招待講演
• [学会発表] 大豆ミート（畑の肉）と肉類（牛肉・豚肉）のプリン体含量の比較 (2023)
  • 著者名/発表者名: 福内友子、髙栁ふくえ、山岡法子、金子希代子
  • 学会等名: 第56回 日本痛風・尿酸核酸謝学会総会
• [学会発表] Properties of uric acid and overview of the Guideline for the management of hyperuricemia and gout including dietary therapy. (2023)
  • 著者名/発表者名: Kiyoko Kaneko, Tomoko Fukuuchi, Noriko Yamaoko
  • 学会等名: 第87回日本循環器学会学術集会 会長企画シンポジウム
  • 招待講演
• [学会発表] 機器分析を利用した痛風・高尿酸血症および尿路結石症の研究 (2022)
  • 著者名/発表者名: 金子希代子、福内友子、山岡法子
  • 学会等名: 中野医学会
• [図書] 八訂 食品成分表2023資料編 (2023)
  • 著者名/発表者名: 香川明夫監修 金子希代子 食品のプリン体 pp 76-77
  • 総ページ数: 432
  • 出版者: 女子栄養大学出版部
  • ISBN: 978-4-7895-1023-3