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2017 年度 実施状況報告書

多剤耐性マイコプラズマ・ジェニタリウムの検出と治療に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K11193
研究機関産業医科大学

研究代表者

濱砂 良一  産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (30189609)

研究分担者 松本 正広  産業医科大学, 医学部, 助教 (20580294)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードMycoplasma genitalium / キノロン耐性 / parC / efflux pump
研究実績の概要

M. genitaliumは男性尿道炎、女性の子宮頚管炎の原因微生物である。マクロライド耐性が世界的に蔓延し、マクロライド治療失敗例にはmoxifloxacin(MFLX)やsitafloxacin(STFX)が有効である。世界的にMFLXが使用されているが、近年MFLX治療失敗例が世界各地で報告されている。しかし、MFLX耐性の耐性機序は、parC遺伝子のpoint mutationのみの検討がなされているだけで、キノロン耐性のもうひとつの機序であるefflux pumpの増加によるキノロン薬の排出増加に関して、M. genitaliumにおける検討はない。我々はefflux pump inhibitorを用いて、キノロン薬の薬剤感受性への影響を検討し、多剤耐性M. geitaliumに対する新たな薬剤の可能性を検討した。efflux pump inhibitorである1-(1-naphthylmethyl)-piperazine(NMP)、phenylalanine arginine β-naphthylamide(PAβN)、carbonyl cyanide m-chlorophenylhydrazone(CCCP)、reserpine(RSP)をM. genitaliumの増殖系に加え、キノロン薬への感受性を検討した。M. genitalium株は、マクロライド、MFLX、STFXの長期投与でも治療できなかった患者から分離培養したIMC-1株を用いた。高濃度のNMP, PAβNは単独でM. genitaliumの増殖を阻害した。本薬は単独で抗マイコプラズマ効果を示すことが、はじめて明らかとなった。CCCPは低濃度ではM. genitaliumの増殖を抑制しないが、MFLX, STFXのMICをわずかに低下させることが判明した。今後、容量を変えて、検討を加える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、抗菌薬治療に失敗した2症例から、多剤耐性M. genitalium株を分離、培養しており、さらに現在、数株の増殖が認められている。しかし、治療難治症例の尿検体の採取には苦慮しており、多剤耐性株の収集は予想より少ない。一方、キノロン耐性の機序としてefflux pumpの有効性を検討しており、一部のefflux pum 阻害薬が、キノロンのMICを低下させる可能性があることがわかり、耐性機序の検討は始まったばかりである。。

今後の研究の推進方策

抗菌薬治療に抵抗性を示す尿道炎患者の尿検体の収集をさらに行う。また、基礎的研究としてefflux pumpとM. genitaliumのキノロン耐性との関連を、さらに検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究用の物品、消耗品を購入したが、約4000円の残金が発生した。しかし、年期末に4000円程度の物品、消耗品がなかったため、次年度に繰り越した。次年度には、より多くの検体より、M. genitaliumの株の検出を予定しているため、培養に必要なプラスチック製品や血清などを購入する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 婦人科感染症の診断・管理 その秘訣とピットフォール 性感染症 淋菌感染症の基礎と臨床2018

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 雑誌名

      臨床婦人科産科

      巻: 72 ページ: 25-34

  • [雑誌論文] 特集 性感染症―今、何が問題か マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症の診断と治療2018

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 雑誌名

      日本医師会雑誌

      巻: 146 ページ: 2489-2492

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 男子尿道炎からのMycoplasma genitalium検出のためのキットの検討2018

    • 著者名/発表者名
      濵砂 良一, 松本 正広, レ ティ ファン, 藤本 直浩, 松本 哲朗
    • 雑誌名

      Journal of UOEH

      巻: 40 ページ: 45-52

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 非淋菌性尿道炎の第一選択に何を選択すべきか2018

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 雑誌名

      日本化学療法学会雑誌

      巻: 66 ページ: 173-184

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 性器クラミジア感染症・非クラミジア性非淋菌性尿道炎2017

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 雑誌名

      泌尿器Care & Cure URO-Lo

      巻: 22 ページ: 79-84

  • [学会発表] Sitafloxacinによる治療失敗例から分離培養したMycoplasma genitalium株とその薬剤感受性2017

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一、忽那賢志、松本正広、藤本直浩、松本哲朗
    • 学会等名
      日本性感染症学会 第30回学術大会
  • [学会発表] 性感染症治療におけるUp to date 非淋菌性尿道炎の第一選択薬に何を選択すべきか2017

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 学会等名
      第91回日本感染症学会総会 学術講演会 第65回日本化学療法学会学術集会 合同学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 尿路感染症・性感染症―ゴールドスタンダードを考えるー 尿道炎の治療―ゴールドスタンダードとは?2017

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 学会等名
      第105回日本泌尿器科学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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