研究課題/領域番号 |
17K11198
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮川 康 大阪大学, 医学系研究科, 招へい准教授 (70362704)
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研究分担者 |
田中 宏光 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (10263310)
福原 慎一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20609870)
木内 寛 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70403053)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 男性不妊 / 無精子症 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
非閉塞性無精子症(NOA)はその精巣病理組織所見からセルトリセルオンリー症候群(SCOS)、成熟停止(MA)そして精子低形成(HS)の大きく3病型に分類される。HSは加齢や環境因子などによる二次的変化と推測され、多くは精巣内精子採取術で治療可能であるが、SCOSやMAは、大部分が原因不明であり、精子採取も困難である。我々は、精巣生殖細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体TRA98の抗原がNotchシグナリング制御遺伝子NKAP(NFkB activating protein)であることを世界に先駆けて同定し、減数分裂後に機能するホモログ遺伝子NKAPL(NKAP-like)をも新規に発見した。驚くべきことにNKAPとNKAPLの遺伝子破壊マウスの精巣表現型はそれぞれSCOSとMAであった。2つの遺伝子の生殖細胞のNotchシグナリングの制御機構を明らかにし、NOAの病態解明を実施している。 Cre/loxPシステムを用い雄性生殖細胞特異的なNKAP破壊マウスの作成に成功し、その表現型はSCOSであり、そのKOマウスの解析を行い、NKAPの生殖細胞における機能を明らかにし、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)NKAP/NKAPLの生殖細胞での共役因子ならびに標的遺伝子の解析 我々は20000種類以上のヒト遺伝子ORFをGateway systemに組み込みcell free protein synthesisにより独自に作成したprotein arrayを用いて、NKAP/NKAPLリ コンビナント蛋白と反応する共役因子のスクリーニングを行い、その候補を同定した。現在機能解析中である。 2)成熟停止による非閉塞性無精子症患者のNKAPLのゲノム変異・SNP解析 サンプル50症例についてエクソンシークエンス解析を終了した。スーパーコンピューターによる変異検出を施行したが、有意な変異やSNPは見出せなかった。、現在発現制御異常の可能性につきさらに解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに判明したNKAP/NKAPLの生殖細胞における機能解析結果については、すでに論文作成をして投稿中であり、今後は計画通りに更に関連分子につき機能解析すすめるとともに、成熟停止症例をさらに集積しゲノム解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度執行予定の試薬が予想以上に高額だったため、今年度予算を抑えた。繰越金で購入予定の試薬を購入する。
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