研究課題/領域番号 |
17K11201
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
有吉 勇一 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 学外協力研究者 (10643520)
|
研究分担者 |
山田 和彦 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (40241103)
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 移植・再生医療 / 常温灌流保存 / 腎移植 / ミニブタ / 前臨床実験 / 虚血再灌流障害 / 温虚血 / 浸漬冷却保存 |
研究実績の概要 |
生理的条件で保存液の持続灌流を行う常温器械灌流保存(normothermic machine perfusion: NMP)法は、保存臓器に対して持続的に血液や酸素を投与することによって、保存中の腎臓の機能評価が可能となる可能性が大きな利点と考えられるうえに、保存臓器に対して直接薬剤を投与することが可能なシステムであり、温虚血にさらされた障害腎を用いた移植の際に、極めて有効な術前評価法となりかつ副作用の懸念の少ない臓器修復の手法になるものと期待される。主要組織適合性抗原(major histocompatibility complex: MHC)確立ミニブタ温虚血ドナー腎臓を用いた実験によって、平成29年度には既存の人工心肺回路を用いたシステムによってNMP法の手技を確立した。平成30年度はこの手法をもとにして、ドナーと同一MHCの個体から血液を採取し赤血球のみを分離し、リンゲル液添加によりHctを15-20%に調整した灌流液(灌流回路で酸素化および糖分を含む栄養素を添加)を用いて、85mmHgの動脈圧のもとに腎臓をNMP法により灌流した際の流量や血管抵抗、酸素消費量、尿量などの指標が、移植後腎機能を予測しうることをさらに検討した。この結果、2時間温虚血後の腎臓を温度が異なる条件で1時間保存を行った後に、2時間NMP法によって腎臓を灌流した群でのこれらの指標の推移と、1時間保存後にNMP法を行わずにMHCが同一のレシピエントに腎移植を行った群の術後腎機能の推移の間に相関関係を認めることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、研究計画書に従って研究が進捗しており、おおむね順調に実験が進んでいるものと判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のように、これまでにNMP法が移植前腎機能評価法として極めて有効を明らかにしてきており、計画最終年度の平成31年度には、NMP法によって、従来の浸漬冷却保存よりも温虚血障害腎機能が回復する可能性があるのか、また灌流保存中に薬物投与を行うことによって術後移植機能の改善が得られるのかという点をより明確にし、臓器の代謝抑制を目的とする現状の浸漬冷却保存法に対し、NMP法が新たな保存法として臨床応用しうるのかという点を明らかにする実験を推進する。
|