研究課題
マウス異所性心移植モデルにおいて、移植片の摘出時にHSP90阻害剤・17DMAGを還流した上で心移植を行い、その後はレシピエントに治療を行わずに観察したところ、レシピエントに対する治療と同等の移植片生着延長効果を認めた。移植片への灌流のみでも、レシピエントに対する17DMAG投与と同様に、移植片の炎症細胞浸潤の抑制、炎症性サイトカイン産生の抑制が見られた。一方、17DMAGは老化細胞を除去するsenolytic effectを有することが注目されおり、このことは移植片拒絶応答にも影響することが示唆されている。17DMAGによる移植片灌流の拒絶反応抑制効果のメカニズムを明らかとするため、このsenolytic effectに注目し、本モデルにおいて解析をおこなった。RT-PCRでは、17DMAGの移植片灌流によって、p16INK4a と p21CIP1 のmRNA発現が移植後3日目に亢進し、5日目に低下していることが明らかとなった。この結果から、HSP90阻害による移植片生着延長効果の主たるメカニズムの一つとして、senolytic effectが重要な役割を持つものと考えられた。上記の他、腎移植レシピエントにおいて、移植片拒絶反応と血清および尿中HSP90濃度の関係を解析するため、これまで13症例より検体を採取しており、今後さらに症例を追加し、解析をおこなう予定である。
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BIO Clinica
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Kidney International
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10.1016/j.kint.2018.08.041.