研究分担者 |
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70448710)
守時 良演 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50595395)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10621063)
加藤 大貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (00620931)
梅本 幸裕 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80381812)
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研究実績の概要 |
精巣の機能不全は男性不妊症や内・外性器の発育障害をきたし、少子化が進むわが国において取り組むべき重要疾患である。私たちは、精巣発生や精子形成メカニズムの研究を通じて精巣組織における「セルトリ細胞」の重要性に注目している。セルトリ細胞は、胎児期には内分泌細胞、成熟期には精子形成の支持細胞と、発生・発達の時期によって異なる機能を有する。こうしたセルトリ細胞の分化・成熟メカニズムは明らかにされておらず、疾患との関連性も明らかでない。そこで本研究では、セルトリ細胞の分化・成熟にかかわる分子生物学的基盤を明らかにすることを目的として実験計画を立案した。 最終年度である平成31年度(令和元年度)では、当初の目的を達成するため、実験動物の精巣組織からセルトリ細胞の分離・精製と、思春期にかけての経時的な組織学的評価を行った。生後3週のラット正常精巣からセルトリ細胞の分離・培養を行ったところ、20個の精巣組織からは平均8,435,000個の細胞を回収することができた。分離した細胞について、セルトリ細胞マーカーであるSox9, WT1等の発現を定量PCR法、免疫染色法で検討した。免疫染色ではセルトリ細胞に特異的マーカーの発現を認めたが、定量PCR法では、精子形成細胞やライディヒ細胞に特有の遺伝子発現も認めたことから、細胞の分離方法を確立することはできたが、精製過程に課題があることが明らかとなった。 また、昨年度に引き続き、セルトリ細胞から分泌されるインヒビンBの血中濃度と精巣組織との関連についても検討している。先天的に精巣下降が障害される停留精巣の患児における血清インヒビンB値と、治療前の精巣位置や、片側・両側など臨床的な違いによって相関が認められるかどうかを評価した。その結果、精巣位置によってインヒビンB値は影響を受けないことが明らかとなった。
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