研究課題
本研究では、卵巣におけるプロスタグランジンD2(PGD2)の役割解明を目的とした。前年度に続き、DPアゴニストの卵巣顆粒膜細胞への作用をin vitroにおいて検討した。それに続き、黄体におけるPGD2の作用を解明するために、PGD2の代謝に関与するaldo-keto reductase family 1, member C-like (AKR1CL) に注目し研究を行った。AKR1CLはPGD2を基質として、PGF2α の立体異性体である9α,11β-PGF2を合成することが最近報告された。9α,11β-PGF2はPGF2αと同様に、プロスタグランジンF受容体(FP受容体)に結合して作用を発揮する。そこで我々はまず、卵巣におけるAKR1CLの発現解析を行った。未成熟マウス卵巣におけるAKR1CLの遺伝子発現はPMSGおよびhCG投与により亢進された。PGD2合成酵素であるL-PGDSの遺伝子発現は、PMSG投与により一時的に低下するものの、hCG投与96時間後に上昇した。FP受容体の遺伝子発現はhCG投与96時間後に最も発現が上昇した。これらの結果から、L-PGDSにより合成されたPGD2は、AKR1CLにより9α,11β-PGF2に合成され、FP受容体を介することで、黄体機能に関与すると考えられた。さらに、AKR1CL遺伝子のプロモーター領域を用いて転写解析を行ったところ、AKR1CL遺伝子の転写は、卵巣形成に必須の転写因子であるsteroidogenic factor-1により促進されることが明らかになった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
The Journal of steroid biochemistry and molecular biology
巻: 196 ページ: 105493-105499
10.1016/j.jsbmb.2019.105493.
BioMed Research International
巻: 2019 ページ: 2314-6141
10.1155/2019/8973076
Molecular Reproduction and Development
巻: 86 ページ: 786-797
10.1002/mrd.23163
Thrombosis and haemostasis
巻: 119 ページ: 1311-1320
10.1055/s-0039-1688906
実験医学
巻: 37 ページ: 1442 - 1446
10.34297/AJBSR