研究実績の概要 |
母体血中のcell-free DNA を用いたNIPTにおけるdiscordantな結果に着目しその原因を検討した。①胎盤に限局したモザイク(CPM)の影響で偽陽性となることがある、②Vanishing twinの影響で偽陽性となる場合がある、③母体由来のDNAの影響を受けるとの仮説を検証した。 2017年11月までに報告のあったNIPTコンソーシアム35施設のデータを解析した。総検査数37243件、擬陽性は44例、偽陰性3例、判定保留122例であった。追跡可能であった疑陽性40例の原因としてvanishing twin, 胎盤性モザイク,児のモザイクが確認され、14/40の原因を特定できた。うち胎盤性モザイクにおいては18トリソミーにおける症例数が多いことがわかった。この他、母体の病態(腫瘍性疾患、染色体異常)の影響により疑陽性となった症例も確認できた。一回目判定保留例(122例)においては、母体要因(ヘパリン投与,母体腫瘍,自己免疫疾患,母体のCNVs),児の染色体異常、胎盤性モザイク、vanishing twinなどの原因が特定された。 2回連続判定保留となった症例(33例)では、母体要因、児の染色体異常、胎盤性モザイクが確認されている。このうちヘパリン症例についてのマイクロアレイ解析の結果、投与中と中断後でDNA断片長が変化することを確認した。今後は症例を増やしてのデータ収集を続けるとともに、特に症例数の多い要因について詳細な解析(whole genome 解析)を行う。
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