研究課題
早産の中でも、特に予後不良の在胎28週未満の早産では子宮内感染や絨毛膜羊膜炎の頻度は高率だが、これまで非破水切迫早産の抗菌薬投与は無効とされていた。我々は、独自に開発した偽陽性のない迅速高感度PCR法を用いて、羊水中の感染の有無を検索し、適切な抗菌薬治療により妊娠予後が改善することを報告した(Am J Reprod Immunol 2016)。また、Amniotic fluid sludge(AFS)と羊水中病原微生物の関連について、迅速高感度PCR法を用いて検討した。AFSは、切迫早産症例の経腟超音波検査で内子宮口付近に認める高輝度集塊像で、その成分は不明で病原微生物の詳細な研究報告はなかった。我々の研究により、AFSは子宮内感染ではなく子宮内炎症を示しており、早期早産と関連していることを初めて報告した(Am J Reprod Immnol 2018)。今後は羊水中の菌数を評価し、羊水感染例の抗菌薬投与による治療効果を判定し、有効性を検討する。予備実験では、切迫早産の羊水感染例で適切な抗菌薬治療後に治癒判定のために再度羊水検査を行う、もしくは分娩時に羊水を採取した23例中、18例(78.3%)で、病原微生物が消失していた。また、病原微生物消失例では、非消失例に比し、妊娠延長期間が有意に延長していた(72(17-106)日vs9(7-43)日,p=0.035)。今後も治療後の羊水ならびに分娩時羊水、胎盤、臍帯血で菌数を評価し、治療の有効性を検証する。
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