研究課題/領域番号 |
17K11221
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
島 友子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (00377285)
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研究分担者 |
中島 彰俊 富山大学, 附属病院, 講師 (00436792)
齋藤 滋 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (30175351)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 母児免疫寛容 / 制御性T細胞 / 樹状細胞 / 精漿 |
研究実績の概要 |
免疫寛容は半異物である胎児を許容するための免疫学的システムであり、妊娠維持に必須である。この免疫寛容の誘導に精漿が関与している可能性が従来示唆されていたが、その機序や影響の程度は不明確であった。我々は、これまでに精漿プライミングにより着床直前に父親抗原特異的制御性T細胞(Treg)が子宮所属リンパ節に集簇し、着床後に子宮に同細胞が集簇することを証明し、同細胞が着床前後で妊娠維持に非常に重要な役割を果たしていることや、マウスアロ交配の子宮内に集簇する樹状細胞は、精漿のプライミングにより免疫寛容誘導性の性格を有していることを報告してきた。本研究では、精漿がどのような機序で免疫寛容を誘導するのかを、父親抗原特異的Tregと免疫寛容誘導性樹状細胞との関連性を明確にすることで、着床不全、不育症の病態を解明し、不妊症不育症の治療の 糸口を導き出すことを目的とした。 BALB/cマウス(♀)×DBA/2マウス(♂)のアロ交配の系では父親抗原特異的Tregを同定することが可能でありこの系を利用した。アロ交配あるいはSVXアロ交配(精嚢を除去し精漿分泌のない雄マウスと交配)の子宮由来樹状細胞が実際にin vitroで母親マウス由来のナイーブCD4+T細胞から父親抗原特異的Treg細胞を誘導することが可能かどうか検討した。アロ交配の子宮由来樹状細胞は父親抗原特異的Treg細胞を見事に誘導したが、SVXアロ交配の子宮由来樹状細胞ではその効率が明らかに低下していた。精漿のプライミングによりまず免疫寛容誘導性樹状細胞が誘導されさらに父親抗原特異的Treg細胞の分化に影響していることが推定され、論文作成中である。 今後は免疫寛容誘導性樹状細胞を父親抗原特異的Treg細胞の相互作用に影響する分子を検索するためマイクロアレイ等による遺伝子解析やヒト妊娠における免疫寛容誘導性樹状細胞の検索を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度から引き続き、マウス妊娠における父親抗原特異的Treg細胞および免疫寛容誘導性樹状細胞の特異的マーカーの検索を行うため、各細胞群において臓器別、あるいは精漿の有無別にマイクロアレイ解析を行いその遺伝子発現を比較検討する予定としていた。しかしながら、制御性T細胞、制御性樹状細胞ともに、臓器によっては回収できる細胞数が少なく、細胞の回収そのものに時間を要しており、回収方法の見直しを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス妊娠における父親抗原特異的Treg細胞および免疫寛容誘導性樹状細胞の特異的マーカーの検索に関しては、各細胞群の細胞回収を継続し、解析可能となった段階で作業を進めていく予定である。細胞回収効率が悪いため回収方法の見直しを行い、回収を進める予定である。この結果により、ヒト妊娠での制御性樹状細胞の探索を行う予定であったが、マウス妊娠における父親抗原特異的Treg細胞および免疫寛容誘導性樹状細胞の特異的マーカーの検索後の研究となる。ヒト妊娠における細胞回収にも時間を要するため、マウス研究結果に先行して、ヒト妊娠における検体ストックを継続している。マウス妊娠での結果が出次第、ヒトでも解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の遅れにより物品購入費、学会参加旅費使用が減額したため、次年度使用額が生じた。次年度マウス等実験消耗費の購入にあてる予定である。
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