研究課題/領域番号 |
17K11228
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
滝川 幸子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70456664)
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研究分担者 |
岩瀬 明 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (20362246)
後藤 真紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (90378125)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PCOS / ゲノムインプリンティング / インスリン抵抗性 / IGF2 |
研究実績の概要 |
多嚢胞性卵巣症候群 (polycystic ovarian syndrome; PCOS)の病態には内分泌異常と糖代謝異常が複雑に関与しており、その発症には遺伝的要素と胎内環境が影響していると考えられているがはっきりとした原因は解明されていない。成人期慢性疾患の発症基盤には胎児期の環境が関連するという胎児プログラミング仮説が提唱されており、ゲノムインプリンティングの関与が示唆されている。肥満や耐糖能異常などの原因遺伝子として注目されているInsulin like Growth Factor 2(IGF2)遺伝子の発現がPCOS発症の予測遺伝子となりうるか検討した。 PCOS症例と非PCOS症例におけるIGF2の発現を比較するため、体外受精時に採取した顆粒膜細胞からRNAを分離し半定量PCRにて測定したところ、明らかな優位差は認められなかった。 次にゲノムインプリンティングによるIGF2遺伝子発現調整を評価するため、differentially methylated region(DMR)領域のメチル化比率を定量解析を行うこととした。非POCS症例4例の全血からDNAを分離しパイロシークエンス法を用いて解析を行ったが、うち1例は検体不良であった。IGF2-DMR0領域にはCpGサイトが3か所含まれており、既報のメチル化比率と一致を確認した。PCOS症例のDNAメチル化比率を測定していないため十分な検討はできなかった。 クローニングが不要なパイロシークエンス法は簡便であるが、ターゲットとなるDMR領域の選定が重要であると考えられた。IGF2遺伝子以外のインプリンティング遺伝子もPCOS発症に関与している候補と考えれるため検討課題と考えられた。
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