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2017 年度 実施状況報告書

胎内炎症曝露が及ぼすエピジェネティック変化とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K11230
研究機関名古屋大学

研究代表者

小谷 友美  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (70359751)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード早産 / エピジェネテイクス / 自閉症スペクトラム / 炎症
研究実績の概要

胎内炎症曝露により自閉症スペクトラム様所見を呈したモデルをMIA(maternal immune activation)モデルとして解析してきた。また、このMIAモデルに出生前に分子状水素投与した群(H2投与群)では、自閉症スペクトラム様所見が改善していることはすでに確認している。今年度は、これらの病態および改善したメカニズムを解明するために、エピジェネテイクスな観点から解析を行った。MIAモデル群、H2投与群およびコントロール群の3群について、受傷直後(8時間後)および5週齢において、仔脳組織を回収し、各種ヒストン修飾について検討した。その結果、受傷直後における評価では、MIAモデルにおいてH3K9アセチル化の亢進を認めたのに対し、ヒストンのメチル化修飾であるH3K4me3,H3K27me1,H3K27me2, H3K27me3は有意な変化は観察されなかった。また、H2投与群においては受傷直後(8時間後)において、H3K9アセチル化はコントロール群と同じレベルにまで低下していた。このことから、MIAモデルの仔脳組織ではH3K9アセチル化が亢進しており、これが出生前に分子状水素投与により軽減したことから、MIAモデルで自閉症スペクトラム様所見を呈するのに脳組織におけるH3K9アセチル化の亢進が関与しており、これの抑制が所見の改善と関連している可能性が示唆された。なお5週齢で同様の検討を行ったところ、同様の傾向は認めたものの、有意差は認められず、エピジェネテイックな変化は週齢により一部消失していくことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H3K9アセチル化の変化がMIAモデルで観察されたことから、少なくとも胎内炎症曝露により何らかなエピジェネテイックな修飾の変化が生じていることは確認された。

今後の研究の推進方策

脳組織全体での解析では、病態解明に限界があるため、ミクログリア、アストロサイト、ニューロンなどの分離に詳しい学内の研究室と協議し共同研究を立ち上げ、各構成細胞におけるエピジェネテイック変化にも着目して検討していく方針とした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Altered proteomic profile in umbilical arterial serum from mothers with schizophrenia2018

    • 著者名/発表者名
      Moriyama Y, Kotani T, Ushida T, Imai K, Nakano T, Tsuda H, Kikkawa F.
    • 雑誌名

      Schizophr Res

      巻: S0920-9964(18) ページ: 30101-4

    • DOI

      10.1016/j.schres.2018.02.024

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 周産期における炎症 その生理と病態 子宮内炎症による早産児の後遺症軽減する新たな治療法の確立への取り組み 新規抗酸化剤・分子状水素を用いて(解説)2017

    • 著者名/発表者名
      小谷友美
    • 雑誌名

      日本産科婦人科学会雑誌

      巻: 69 ページ: 1687-1699

  • [学会発表] 子宮内炎症による早産児の後遺症軽減する新たな治療法の確立への取り組み~新規抗酸化剤・分子状水素を用いて~2017

    • 著者名/発表者名
      小谷友美
    • 学会等名
      日本産科婦人科学会第69回学術講演会
  • [備考]

    • URL

      https://www.med.nagoya-u.ac.jp/obgy/research/obstetrics/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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