研究実績の概要 |
胎内炎症曝露により出生後成長し自閉症スペクトラム様所見を呈するモデルをMIA(maternal immune activation)モデルとして解析してきた。昨年度に引き続き病態機序の解明にむけて動物モデル及び細胞実験で検討した。その結果、MIAモデルにおいては、出生後早期の仔脳において、FACS解析を実施したところ、CD11c陽性ミクログリア数が減少していることが確認された。CD11c陽性ミクログリアは髄鞘保護作用が知られており、減少により髄鞘化が低下している可能性が示唆された。すでに同モデルで、髄鞘産生に関与するオリンゴデンドロサイト及びニューロンの減少を確認している。また、このCD11c陽性細胞の減少は一過性であることも確認された。これらの結果から、胎内炎症曝露により、出生早期にCD11c陽性細胞が減少することがその後の時期における髄鞘化減少、ニューロンの減少に至るという機序が示された。胎内炎症でIL-17が増加することが示されている。このことをふまえ、ミクログリア初代培養において、IL-17添加による遺伝子発現の変化を網羅的に検討するため、miSeqを用いて検討した。2倍以上増加を示したのは、miR-206-3pであり、2倍以上減少したのは、miR-151-5p, miR29b-3pであった。miR-206-3pについれは、qRT-PCRにおいても有意な増加が確認された。Bioinformatics softwareによりmiR-206-3pのターゲットを検討したところ、IGF-1、HDAC-4などが候補としてあがっており、さらに解析を進めている。
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