研究課題/領域番号 |
17K11231
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀江 昭史 京都大学, 医学研究科, 講師 (30535836)
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研究分担者 |
佐藤 幸保 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (00508236)
大黒 多希子 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (30767249)
谷 洋彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (70615252)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | versican / 胚着床 / 血管リモデリング |
研究実績の概要 |
我々はECMの構成要素であるversicanに着目し、子宮内膜上皮に発現するversicanが胚盤胞の接着を促進することを示してきた[Reprod. 2018]。 そこで、胚着床に関わるメカニズムを検討する目的で、マウスにおける実験を行ってきた。 まず、非妊娠時のマウスにおけるversicanの発現はヒトと同様に性周期を通じて発現していることがわかった。またマウスにおけるversicanの発現も性ホルモンによりコントロールを受けていることがわかった。更に胚着床後のversicanの発現変化としては、ヒトもマウスも胚周囲から発現が徐々に低下していくことがわかった。 我々は、胚着床におけるversicanの機能及び妊娠後の影響について検討する目的で、versicanの子宮特異的cKOマウスを作成した。 コントロールマウス(ctrl)と比較してcKOでは妊娠率には差を認めなかった。これはヒトとマウスの着床過程が異なることと、ヒトと違い子宮内膜上皮にversicanが発現していないことが影響してる可能性が考えられた。しかしその後の妊娠経過を検討すると、妊娠数、流産率、胎盤重量には、差を認めなかったものの、新生仔体重においてcKOでは有意に体重減少を認めた。そこで、妊娠高血圧との関連性を調べるため、母獣の妊娠中の血圧、尿蛋白などを検討したところ、分娩時の血圧がcKOにおいて有意に高かった。更に妊娠各時期における胎児の重量に於いてもやはりcKOにて有意に低かった。 これらの結果から、versicanはマウスにおいて、胚着床には影響を認めないものの、妊娠中の高血圧、さらには仔の体重低下と妊娠高血圧症候群と関係があることがわかった。今後この結果を元に、さらにversicanの血管リモデリングを含めた胎盤形成におけるメカニズムを検討し、論文発表する予定である。
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