研究課題/領域番号 |
17K11232
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
熊澤 惠一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90444546)
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研究分担者 |
中村 仁美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80467571) [辞退]
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / モデルマウス / スタチン |
研究実績の概要 |
妊娠高血圧症候群は全妊婦の5~10%に関わり、悪化すれば母児の生命を脅かす。海外、特に発展途上国では母体死亡、周産期死亡の大きな原因となっている。近年になり妊娠高血圧症候群妊婦は予後に関し、高血圧、腎機能の悪化などが報告されている。我々の作成したモデルマウスのうち、高齢妊娠モデルマウスは妊娠中に高血圧を来すだけでなく、母獣の血管や脂肪の老化とも関連があることが分かってきた。その一方で上記高血圧、腎機能の悪化などは男女ともに高齢になるに従い発症しやすいものであることは周知の事実である。上記内容を考え合わせると妊娠高血圧症候群合併妊婦は妊娠中に血管、その他の組織の加齢が進行し、妊娠が終わった後も心血管系の疾患に罹患しやすい状態が続いていることが示唆される。またこの加齢の抑制が将来の妊娠高血圧症候群の予防、さらには分娩後の長期的予後の改善につながるかという新たな展望が見えてきた。その一方で、当初研究予定に挙げていた『高血圧,脳・心血管障害やメタボリックシンドローム,その他,腎疾患などに関する長期予後に関し、血管新生因子、降圧剤、あるいはスタチン等を用いて予防効果があるかの解析を行う。』という課題に関しては所属機関でのデータ集積を行っている。海外では大規模なコホートでのデータも出ているが、日本では使用例が少ないため、今後、所属機関の関連施設あるいは他の周産期センターなどにもデータの集積に関し協力を求めていくことも想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要と重なるが、高齢妊娠モデルマウスがさらにヒトの高年妊娠と近いことが分かった。妊娠高血圧症候群発症の鍵となるsFlt1の動向もヒトとモデルマウスで似ていることが分かった。 その一方で、当初研究予定に挙げていた『高血圧,脳・心血管障害やメタボリックシ ンドローム,その他,腎疾患などに関する長期予後に関し、血管新生因子、降圧剤、あ るいはスタチン等を用いて予防効果があるかの解析を行う。』という課題に関しては 海外においてヒトへの臨床研究が進められ、我々も少数齢ながら所属機関でのデータ集積を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1)モデルマウスの予後の解析:平成30年度以降も長期予後の解析は継続する。特に高齢妊娠マウスを1度の妊娠でなく、複数回の妊娠をした場合の老化関連物質の変化を解析することにより、高齢妊娠の予後、及び妊娠高血圧症候群の長期的予後の解析につなげていく。 2)スタチンに関しては大規模なヒトでの臨床計画につながるようにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に大阪大学産婦人科から東京大学に移籍をしたため、実験室のセットアップを行った。またヒトでのプラバスタチン内服などのデータ集めなど、移動した2018年度にもしやすいものを優先的に行ったため。 次年度は高年妊娠のマウスを使った研究を深化させるとともに、プラバスタチン内服ヒト妊婦のデータの収集もさらに行う。
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