研究課題
妊娠高血圧症候群の主要な病態は、母体の抗血管新生状態による血管内皮障害に伴う全身性の血管機能障害であると理解されている。我々の先行研究において、ヒト臍帯血管内皮細胞 (HUVEC) からplacental growth factor (PlGF) の分泌を促進させる薬剤としてphosphodiesterase 5 (PDE5) 阻害薬であるvardenafilが同定された。PDE5阻害薬は勃起不全や肺高血圧症に用いられており、その血管機能改善作用は広く知られている。本年度は、placental growth factor (PlGF) の主要な分泌減である胎盤を念頭に、絨毛癌細胞株における各種PDE5阻害剤のPlGF産生のおける効果の検討を行った。24well PlateにBeWo cell line 細胞数は5.5×104/wellでseedingし、PDE5阻害剤としてValdenafilを10-250µMで加え、上清のPLGF濃度をELISAにて測定した。Valdenafil濃度とPLGF濃度には正の関係が示唆された。予備実験の段階ではあるが、ValdenafilはBeWo cell lineからのPLGF分泌を促進させる可能性が示唆された。
3: やや遅れている
BeWo cell line におけるPLGFのmRNA発現をReal-Time Polymerase Chain Reaction (PCR)を用いてさらに検討する予定であったが、予備実験の条件設定で時間を要したため実施できていない。ヒト妊娠末期胎盤外植片(placental explants)モデルの確立も条件設定に時間を要し実現できていない。
Valdenafil以外にも他のPDE5阻害剤であるSildenafil Tadalafilでも行う。また、ヒト妊娠末期胎盤外植片(placental explants) おける各種PDE5阻害剤のPlGF産生のおける効果の検討や、sFlt1とsEng産生に与える効果の検討をELISA法を用いて行う。また、近年注目されている補体と妊娠高血圧症候群のメカニズムに、PDE5阻害剤が関与しうるかについても検討していきたい。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 2件)
J Obstet Gynaecol.
巻: 38 ページ: 276
10.1080/01443615.2017.1340439.
Hypertens Res.
巻: 40 ページ: 305
10.1038/hr.2016.152.
BMC Pregnancy Childbirth.
巻: 17 ページ: 443
10.1186/s12884-017-1634-8.
Cancer Chemother Pharmacol
巻: 80 ページ: 1239-1247
10.1007/s00280-017-3468-5.
Int J Gynaecol Obstet.
巻: 139 ページ: 28-33
10.1002/ijgo.12249.
Int J Clin Oncol.
巻: 22 ページ: 921-926
10.1007/s10147-017-1124-z.
J Obstet Gynaecol Res.
巻: 43 ページ: 1132-1138
10.1111/jog.13336.
Case Rep Obstet Gynecol.
巻: 2017 ページ: 9793086
10.1155/2017/9793086.
巻: 37 ページ: 111-112
10.1080/01443615.2016.1239068.