研究課題/領域番号 |
17K11233
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冨松 拓治 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30346209)
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研究分担者 |
遠藤 誠之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30644794)
味村 和哉 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50437422)
熊澤 惠一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90444546)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 血管内皮障害 / PDE5阻害薬 / PLGF / sFLT1 / 補体系 |
研究実績の概要 |
妊娠高血圧症候群の主要な病態は、母体の抗血管新生状態による血管内皮障害に伴う全身性の血管機能障害であると理解されている。我々の先行研究において、ヒト臍帯血管内皮細胞 (HUVEC) からplacental growth factor (PlGF) の分泌を促進させる薬剤としてphosphodiesterase 5 (PDE5) 阻害薬であるvardenafilが同定された。PDE5阻害薬は勃起不全や肺高血圧症に用いられており、その血管機能改善作用は広く知られている。 前年度には以下の実験を行った、placental growth factor (PlGF) の主要な分泌源である胎盤を念頭に、絨毛癌細胞株における各種PDE5阻害剤のPlGF産生のおける効果の検討を行った。24well PlateにBeWo cell line 細胞数は5.5×104/wellでseedingし、PDE5阻害剤としてValdenafilを10-250µMで加え、上清のPLGF濃度をELISAにて測定した。Valdenafil濃度とPLGF濃度には正の関係が示唆された。ValdenafilはBeWo cell lineからのPLGF分泌を促進させる可能性が示唆された。 本年度は、PDE5阻害薬のうちtadalafilを用いた妊娠高血圧症候群の治療に関する基礎研究に参画し、マウスのL-NG-nitroarginine methyl ester(L―NAME)を用いた妊娠高血圧症候群のモデルに対してのPDE5阻害薬の与える影響についての検討を行った。Doppler ultrasound biomicroscopy を用いて、tadalafilの母体投与が胎児循環に与える影響を検討し、胎児体重が改善されるだけではなく、maximum MCA velocityの改善が認められることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、ヒト妊娠末期胎盤外植片(placental explants)を用いて各種PDE5阻害剤のPlGF産生のおける効果の検討を行い、さらにsFlt1とsEng産生に与える効果について検討を行う予定であったが、前述のtadalafilを用いた妊娠高血圧症候群動物実験モデル研究に参画したため実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は上記の検討に加えて、近年注目されている補体系のPLGF産生に与える役割についても上記のモデルや各種cell line を用いて明らかにし、それとPDE5阻害薬の関連について検討を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の実験器具、試薬の追加購入に充当、また研究発表のための旅費に一部充当するため。
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