研究課題
本研究では、aβ2GPI/HLA class Ⅱ測定法の不育症の原因検索や重症度診断における有用性を明らかする。また、HLA class Ⅱの新しい機能を応用し、不育症を引き起こす未知の抗原を探索する。ミスフォールド蛋白/HLA class Ⅱ複合体に対する自己抗体の新検出法が、抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断や不育症の原因精査に有用かを調べる。この複合体抗体に起因する不育症の新たな治療法を開発し確立することを目的とする。また、検査法の標準化と汎用化のために、ELISAプレートやビーズを用いた測定法を新たに開発する。aβ2GPI/HLA-DR7複合体(ネオ・セルフ)抗体と不育症、不妊症、産科異常との関係を明らかにすることを目的とした。不育症女性227人中、52人(22.9%)が、ネオ・セルフ抗体陽性であった。不育症の原因/リスク因子が不明の121人中24人(19.8%)で、またAPS症状があるが基準aPLが陰性の114人中22人(19.3%)において、ネオ・セルフ抗体が陽性であることが初めて明らかにした(Arthritis & Rheumatology, 2020)。FGRの19%、HDPの14%、34週以前早産の8%、不妊症の12%でネオ・セルフ抗体が陽性であった。不妊症では、続発性不妊、不育症合併、ART反復不成功や子宮・卵管リスク因子との関係が示唆された。これまで原因/リスク因子不明とされていた不育症女性の19.8%で陽性になったことから、ネオ・セルフ抗体は、新たな不育症の原因である可能性が示された。また、これまで抗体陽性の不育症で治療した18人では、LDAやLDA+ヘパリン治療によって、健児を得ている。前向きコホート研究や介入研究の臨床試験によって、因果関係の決定と治療方法の確立が期待される
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