【目的】GnRHパルス中枢と考えられる視床下部弓状核キスペプチン(Kiss-1)ニューロン株mHypoA-55細胞にはアクチビン、インヒビン及びフォリスタチンが発現し、同細胞においてアクチビンはKiss-1発現を増加し、インヒビンA及びフォリスタチンはKiss-1発現を抑制することを昨年報告した。ラット胎児脳内に発現するアクチビン、インヒビン及びフォリスタチンの役割について検討した。 【方法】妊娠16-18日目の妊娠ラットから胎児を取り出し、全胎児脳を初代培養して実験に用いた。脳初代培養細胞に発現するKiss-1遺伝子に対するアクチン、インヒビン、フォリスタチン刺激効果及び、これらの遺伝子発現に対するエストラジオール(E2)の影響について検討した。【結果】ラット胎児脳にはKiss-1発現の他、アクチビン、インヒビン、フォリスタチン発現がある事をPCR及びウェスタンブロッティングで確認した。脳内のインヒビンα、inhibin-beta A、beta Bサブユニット及びフォリスタチン発現はE2の存在で増加した。脳初代培養細胞をアクチビンで刺激するとKiss-1発現は増加、インヒビンA及びフォリスタチン刺激ではKiss-1発現は減少した。 【結語】脳内にもアクチビン、インヒビン、フォリスタチンの発現があり、これらはE2の影響を受ける。脳内Kiss-1発現もアクチビン、インヒビン、フォリスタチンの影響を受けることから、脳内のアクチビン、インヒビン、フォリスタチンはE2によるフィードバック機構に関与している可能性がある。
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