研究課題/領域番号 |
17K11238
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
工藤 美樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (80241082)
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研究分担者 |
古宇 家正 広島大学, 病院(医), 講師 (10794779)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胎盤 / トロフォブラスト / シンシチウム化 / 妊娠高血圧症候群 |
研究実績の概要 |
1. トロフォブラストのシンシチウム化に関する研究 1) ヒト胎盤トロフォブラストのシンシチウム化に関与する分子としてhuman endogenous retrovirs (HERV)のエンベロップタンパクであるHERV-W env (syncytin)およびsyncytinのレセプターであるアミノ酸輸送タンパクのASCT2の発現を妊娠高血圧症候群の胎盤において解析し、正常妊娠胎盤におけるそれらの結果と比較した。2)トロフォブラストのシンシチウム化を抑制する分子としてsuppressynが同定されたが、この分子もHERVのエンベロップタンパクであり、アミノ酸輸送タンパクのASCT2をレセプターとしている。そこでこの分子の発現動態を妊娠高血圧症の胎盤において解析している。暫定的な結果であるが、suppressynの発現は正常妊娠の胎盤において、単核のサイトトロフォブラスト優位に発現が認められた。発現部位は細胞膜と細胞質であった。さらに、妊娠高血圧症候群の胎盤ではsuppressynの染色の増強が認められた。
2. トロフォブラストの浸潤に関する研究 1)トリプトファン代謝酵素であるindoleamine 2,3-dioxygenase (IDO) の母体-胎児境界部位での発現動態を解析した。2)正常妊娠では、胎児側の組織である絨毛組織の合胞体トロフォブラスト、間質のマクロファージおよび胎児側の血管内皮細胞に発現が認められた。母体側の組織である脱落膜組織には間質の腺組織の内皮細胞およびマクロファージに発現が認められた。3)癒着胎盤の母体-胎児境界部位においては、脱落膜組織のIDOの発現が認められず、トロフォブラストの浸潤は子宮筋層内にまで及んでいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究以外の業務が多忙であったため。
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今後の研究の推進方策 |
胎盤の形成不全と妊娠高血圧症候群の発症病態の関連を解明する目的で、トロフォブラストのシンシチウム化および母体組織である脱膜組織への浸潤の機序を解析する。妊娠高血圧症候群の胎盤は低酸素状態でシンシチウム化が抑制されていることが特徴である。そこで、正常妊娠、妊娠高血圧症候群の胎盤の組織小片を低酸素下で培養してsyncytin、suppressyn、ASCT2の発現動態を遺伝子およびタンパクレベルで解析する。また、娠高血圧症候群の胎盤ではトロフォブラストの浸潤が脱膜組織の浅層のみで深層に及んでいない。この機序の解明には胎盤における低酸素状態とindoleamine 2,3-dioxygenaseの発現動態を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験が施行できなかったことと、旅費を計上していない。 次年度は引き続いてsyncytin、suppressyn、ASCT2、indoleamine 2,3-dioxygenaseの発現動態を解析するために抗体・試薬を購入する予定である。
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