胎盤由来の間葉系幹細胞を単離同定するため、絨毛組織からexplant法を用いて間葉系幹細胞を同定した。フローサイトメトリー解析により、それら間葉系幹細胞は表面マーカー (CD73、CD90およびCD105)の発現を認め、CD34およびCD45の発現は認められなかった。リアルタイムRT-PCR解析により、胎盤由来の間葉系幹細胞では胎盤特異的microRNAであるC19MC (Chromosome 19 microRNA cluster)の発現が認められた。一方、母体由来の脱落膜組織からexplant法を用いて間葉系幹細胞を単離した。フローサイトメトリー解析により、それら間葉系幹細胞では表面マーカー (CD73、CD90およびCD105)の発現を認め、CD34およびCD45の発現は認められなかった。リアルタイムRT-PCR解析により、C19MCならびに胎児と胎盤にいずれでも発現しているC14MCの発現が認められた。 産科疾患として妊娠高血圧腎症に着目し、妊娠初期から中期ならびに妊娠後期について、正常妊娠ならびに妊娠高血圧腎症の胎盤組織及び脱落膜から間葉系幹細胞を単離し集積した。妊娠経過に伴う間葉系幹細胞におけるC19MCおよびC14MCの発現パターンの推移について検討し、妊娠高血圧腎症とC19MC発現量との関連が認められた。以上より、C19MC発現量は、妊娠高血圧腎症の発症予知マーカーの候補の1つと考えられた。
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