| 研究課題/領域番号 |
17K11243
|
|---|
| 研究機関 | 福島県立医科大学 |
|---|
研究代表者 |
菅沼 亮太 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30528211)
|
|---|
| 研究分担者 |
高橋 俊文 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20302292)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| キーワード | 体外受精 / 顕微授精 / 卵細胞質内精子注入法 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究は、複数の精子調整法と精子選別法の組み合わせによるICSIにおける高精度良好精子選択法の確立、および選択された個々の精子に対するICSI時の精子機能評価法の確立を目的とする。
実験Ⅰ：下記3種の精子調整法、2種の精子選別法の組み合わせによる高精度良好精子選択法の有効性に関する検討と新たな精子選択基準の設定
精子調整法A：密度勾配法、精子調整法B：精液静置法、精子調整法C：MACS法、精子選別法α：IMSI法、精子選別法β： HA-coated slide-binding assay
まず妊孕性の確認された正常一般精液所見を満たす提供精子を用いて、上記精子調整法・精子選別法を併用し精子の選択を行った。精子調整法A→Bの順に行うことにより、精子運動率（前進運動精子率）の上昇が認められた。Cを追加することによりさらに運動精子率の上昇傾向を認めたが、本検討では精子調整法A・B・C単独で行った場合と比較し有意差を認めなかった。また精子選別法βにαを併用することにより非実施群と比較し、ICSIに選択された精子の形態良好率（IMSI法にて確認）の上昇傾向を認めたが、有意差を認めなかった。染色体分析を実施中であり、今後染色体正常率との相関を明らかにしていく予定である。
実験Ⅱ：高精度良好精子選択法の安全性についての検討（上記精子調整法・精子選別法に伴う処理・観察時間の影響に関する検討）
実験Ⅰの各処理及び精子観察による大気下操作時間の延長に伴う悪影響について検討を行った。精子処理後、大気下での管理時間が延長することにより（CO2インキュベーター内で管理した場合と比較し）運動率は低下するが、各処理の有無による差は認められなかった。大気下での操作時間が8時間を超えると精子染色体異常率が上昇する知見を得ているが、今後経時的な差異について検討を行っていく予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各精子処理に要する時間が予想より長時間であった。またマウス除核卵を用いる場合に新鮮卵、凍結卵による差異や、凍結卵を用いる場合に除核後の卵を凍結－融解後に使用した場合と凍結融解後卵子を除核して使用した場合の差異に対する予備実験を追加して実施したため、本実験の進度が遅れる結果となっている。
次年度以降の研究検体の収集はほぼ予定通り（約60検体）進んでいる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
各精子処理方法の手順や順序の適正化を行うことにより、処理時間の短縮が図れている。また凍結卵を用いることにより、今後の染色体分析を安定的に実施することが可能となり、以後のデータの蓄積および解析が予定通り実施可能な見込みである。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、精子検体処理および動物実験に伴う物品費の支出のみとなったため、予定額よりも少額の使用となった。次年度は更なる研究の効率化および処理前後の配偶子をより安定的な環境で管理するために、卓上インキュベーターを購入予定である。
|
