研究課題/領域番号 |
17K11246
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
松田 賢一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40315932)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 妊娠 / 産褥 / 扁桃体 / 梨状皮質 / 女性ホルモン / 情動 |
研究実績の概要 |
本研究計画の目的は、実験動物(ラット)を用いて、妊娠・出産に伴う神経形態・機能変化の分子基盤とその不安情動制御に対する影響を解明し、妊娠期・産後うつの予防・治療に向けた基礎的検討を行うことである。従来の研究で、情動制御に関わる扁桃体基底外側核・中心核および分界条床核において、産褥期に神経細胞の棘(シナプス)の数が有意に減少することがゴルジ鍍銀染色法により、明らかになっていたが、妊娠期の不安情動に関わる脳領域が不明であった。本研究計画により、妊娠期に神経形態が変動する領域として、梨状皮質を同定した。梨状皮質の神経細胞の棘の数が、妊娠中期に有意に上昇した。これら注目の脳領域(扁桃体基底外側核・中心核、分解条床核および梨状皮質)において妊娠・出産期に、女性ホルモンおよびプロラクチン受容体の発現量やサブタイプが変動することが明らかになった。これらホルモン系の不安情動への影響を明らかにするために、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて、siRNAを注目脳領域特異的に発現させ、ホルモン受容体遺伝子の発現を抑制にしたうえで情動行動の出現の変化を検証した。実験再現性を得るところまではいかなかったが、これらホルモン系が妊娠・出産期の不安情動変化に関わっていることを示唆する結果を得た。以上の成果をもとに、国際解剖学会等の学会で発表し、注目を集めた。さらに、学術論文として組織学領域の学術雑誌に1編発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の研究において不安情動(嗅覚忌避)行動観察実験の安定化に時間を要したため、全体的に研究の遂行がやや遅れた。今年度、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子発現抑制による不安情動行動への影響を検証したが、再現性を得るところまで研究を実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に研究事業を延長し不安情動行動に対するホルモン系の影響の分子メカニズム解明を完了させ、その上で、研究成果を査読ありの学術論文として投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の研究において不安情動(嗅覚忌避)行動観察実験の安定化に時間を要したため、全体的に研究の遂行がやや遅れた。今年度、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子発現抑制による不安情動行動への影響を検証したが、再現性を得るところまで研究を実行できなかった。次年度に研究事業を延長し完了させ、その上で、研究成果を査読ありの学術論文として投稿する。
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