研究実績の概要 |
2018年度は,妊娠初期妊婦80例についてBioVender社のELISAでHumanPlacental Protein 13を測定した.本研究の結果,「妊娠初期のPP-13濃度の平均値に比較して,妊娠37週前後のPP-13濃度の平均値がおよそ2倍を示した」ことから,以後の予知研究で使用することにした. ヒトでは,PEを発症していない妊娠22週の血清Gal-1濃度は正常コントロールの約半分の濃度であった(Freitag et al. Proc Natl Acad Sci U S A 2013).我々は、妊娠20~23週の血清Gal-1濃度の低値が,血清sFlt-1/PlGF比と独立した早発型・遅発型PEの予知因子であることを発見した(Hirashima C, Ohkuchi A, et al. Hypertens Res 2018).しかし、妊娠初期のGal-1がPEを予知するかどうかは不明である.2019年度は、2019年12月までに集積した800例の妊娠初期症例を用いてGal-1を測定した. 妊娠初期のtemporary hypertensionおよび白衣高血圧がその後のPEのリスク因子であることを示した(Ohkuchi A, et al. Hypertens Res 2019). 2020年度以降は,妊娠初期症例を用いて,PP-13, PlGF, 母体情報(初産経産の別,既往妊娠高血圧腎症・妊娠高血圧既往,非妊時のBMI,妊娠初期の外来血圧レベル,および,妊娠11-13週の子宮動脈血流速度波形を組み合わせて,早発型(<34週未満発症)妊娠高血圧腎症,早産期発症(<37週未満発症)妊娠高血圧腎症の発症予知を検討する.最終年度までに1500例について検討し,開発モデルを作成する予定である.
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