研究課題/領域番号 |
17K11250
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
梶原 健 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80286103)
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研究分担者 |
石原 理 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70176212)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 着床 / 中鎖脂肪酸 / 子宮内膜脱落膜化 |
研究実績の概要 |
胚の正常な発育のためには、エネルギー源として中鎖脂肪酸のひとつであるオクタン酸の胚への供給が重要であることがこれまでに報告されている。しかし、実際に生体内でオクタン酸がどこからどのように胚に供給されているのかはわかっていない。そこで、本研究では、胚が母体側に着床する場である子宮内膜脱落膜化細胞に着目し、オクタン酸産生機構の解明を試みた。 本研究は、埼玉医科大学病院IRB委員会の承認を得て行った。子宮内膜間質細胞は、良性疾患により子宮摘出を行った患者より同意を得て採取し、分離・培養を行った。脱落膜化刺激を施行した子宮内膜細胞(脱落膜化群)と脱落膜化刺激をしない細胞(コントロール群)とで培養上清中に含まれる中鎖脂肪酸をLC-FTMSにて網羅的に解析した。 解析の結果、コントロール群と比較して脱落膜化群で有意に上昇した中鎖脂肪酸はオクタン酸のみであることがわかった。このことから、子宮内膜細胞は、脱落膜化する過程でオクタン酸を産生すると考えられた。さらに、子宮内膜脱落膜化細胞がどのようにオクタン酸を産生するのかについて理解するために、オクタン酸の代謝や産生に関わるミトコンドリアで働く脂質代謝酵素をコードする遺伝子の発現量を解析したところ、興味深い候補遺伝子が発現変動していることがわかった。 現在、発現変動する遺伝子について、タンパク質レベルでの発現量の解析と着床時のオクタン酸の役割の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想通り、子宮内膜細胞が胚へのオクタン酸の供給源であることがわかった。また、オクタン酸の産生機構についても解明できつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、子宮内膜と胚との相互作用を中心に解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
子宮内腔液中のオクタン酸の測定を来年度に行うため。
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