研究課題/領域番号 |
17K11252
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
関沢 明彦 昭和大学, 医学部, 教授 (10245839)
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研究分担者 |
川嶋 章弘 昭和大学, 医学部, 助教 (10783376)
四元 淳子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (30553648)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / DNAメチル化 / 絨毛細胞 |
研究実績の概要 |
妊娠6-8週の絨毛は浸潤性の機能を多く有しているものと思われるが、妊娠10-11週になると胎盤循環が開始するに合わせ、絨毛環境の酸素化が起こり、機能的な変化が起こり、この機能的な変化を主体的に制御しているのがDNAメチル化であるとの仮説を立てた。まず、正常に妊娠経過している妊娠6-8週、10-11週の絨毛組織を5例ずつ採取し、そのDNAメチル化状態についてマイクロアレイを用いて解析した。その結果、15,153のCpGサイトでメチル化状態の違いが同定された。次に、選択的帝王切開で採取した妊娠後期の絨毛(n=10)と妊娠高血圧症候群で陣痛未発来で帝王切開を行って採取した絨毛(n=11)で同様に比較したところ1,317サイトが抽出された。両者に共通するCpGサイトは249あった。これらの結果をもとにクラスター解析を行った。妊娠6-8週と10-11週で有意な変化があり、かつプロモーター領域に位置するCpGサイト1,726について解析したところ、妊娠高血圧症候群と正常妊娠後期が明確に分離した。この結果は、妊娠初期の絨毛細胞で起こる機能的な分化に伴ったメチル化変化が十分に起こらないことが、その後の胎盤機能に影響し、その機能不全によって妊娠高血圧症候群が発症している可能性を示す結果と考えられた。 そのことを検証する目的で、現在、妊娠11-13週に行う絨毛採取に際し、余剰絨毛を採取しており、そこでのCpGサイトのメチル化状態と妊娠予後との関連を検討する準備としての検体採取も順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期に計画したマイクロアレイを用いた絨毛細胞の遺伝子解析は終了できた。結果も、想定通り妊娠初期のDNAメチル化不全が、妊娠後期の妊娠高血圧症候群の発症につながっていることを示す結果である。 また、妊娠11-13週に行う絨毛採取に際し、余剰絨毛を保存しており、その保存数は順調に増加している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に抽出したCpGサイトと近接する遺伝子の発現量を比較し、説明可能なCpGの抽出を行う。その上で、妊娠11-13週に行う絨毛採取で得られたDNAでの解析を行い、妊娠予後の推定に利用可能かを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は予定通りに進行しているものの、残額が9003円の残金となった。希望する研究用試薬の購入は、平成29年度には予算不足でできなかった。平成30年度に残金と平成30年度の予算を合わせて購入することとした。
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