研究課題/領域番号 |
17K11256
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (90271220)
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研究分担者 |
大口 昭英 自治医科大学, 医学部, 教授 (10306136)
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (60188175)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 産科学 / 妊娠 / 胎盤 / 競合内在性RNA / 妊娠高血圧腎症 |
研究実績の概要 |
妊娠初期トロホブラストにおける競合内在性RNA(ceRNA)による遺伝子発現制御ネットワーク解明と、その鍵となるceRNAの機能を明らかにし、さらに、妊婦血漿・胎盤ceRNAの変動解析を行い、PEの予知予防戦略としての基盤研究展開を目的として研究を行った。 ①ceRNAの機能解明:絨毛外栄養膜細胞(EVT)に高発現して鍵となるceRNAとして、intergenic型長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)であるlncRNA H19の解析を行った。LncRNA H19は、miRNA-675-5pのpri-miRNA(miRNAの前駆体)でもある。EVTにおいて、lncRNA H19とともにmiRNA-675-5pは高発現しており、EVT株(HTR-8/SVneoなど)を用いて機能解析を行った。EVT株へmiR-675-5pを過剰発現させることにより、浸潤能の有意な促進を認めた。In silico解析から、miR-675-5pの標的遺伝子候補として胎盤に高発現する転写調節因子GATA2を見出し、ルシフェラーゼアッセイにより標的遺伝子であることを証明した。miR-675-5p/GATA2軸によるEVT浸潤機構における下流の細胞浸潤シグナル経路を更に解析し、GATA2抑制によりMMPが活性化し、EVT浸潤を促進することを見出した。また、EVT株におけるmiRNA-675-5pの発現上昇は、lncRNA H19のポジティブフィードバックを引き起こすことが示唆された。 ②ceRNAによる新規PE予知因子開発:公開データベース(FANTOM5)を用いてヒト胎盤に発現しているlncRNAを検索し、高発現している胎盤関連lncRNAを抽出し、PE胎盤における発現差異解析を行った。いくつかの胎盤関連lncRNA(MALAT1、H19など)の発現が、正常胎盤と比較してPE胎盤において有意に上昇していた。
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