研究課題
本研究では、受精後の初期胚で発生する染色体異常について、分割停止を起こした受精卵、もしくは廃棄予定の受精卵の染色体解析を行い、染色体異常の発生頻度と母体年齢との相関関係、配偶子形成過程や初期胚で発生する染色体異常の種類、染色体異常が受精卵の分割にどのような影響を及ぼすか明らかにすることを目的とした。2017年度は、分割停止を起こした受精卵、もしくは廃棄予定の受精卵の染色体解析を数多く行い、その中で胚盤胞期における胎児を形成するICM(Inner Cell Mass) と胎盤を形成するTE (Trophectoderm) との染色体比較解析のデータがまとまったため、「Discordant cytogenetic findings between ICM and TE in human blastocysts」という演題名で日本人類遺伝学会で発表した。これまでのデータでは、ICMとTEでは約半数で核型が異なる結果が得られ、不一致の検体を詳細に解析すると、それらは受精後の初期胚に発生した染色体異常で胚盤胞期にはモザイク型の染色体異常として存在し、TEに蓄積する傾向があることがわかった。これはICMでは胚盤胞の段階で既に染色体異常を持つ細胞はアポトーシスや細胞周期の停止などにより、染色体異常を持つ細胞が淘汰される傾向にあると考えられる。この研究内容について論文を執筆しており、今年度中に投稿予定である。また分割停止を起こした受精卵の染色体解析をすると、多くの受精卵で複数の染色体に異常が見られることが分かった。現在、このデータをまとめ、分割を停止させる要因となる染色体異常、およびその領域に含まれる原因遺伝子を探索している。
2: おおむね順調に進展している
2017年度は、分割停止を起こした受精卵、もしくは廃棄予定の受精卵の染色体解析を数多く行い、その中で胚盤胞期における胎児を形成するICM(Inner Cell Mass) と胎盤を形成するTE (Trophectoderm) との染色体比較解析のデータがまとまったため、「Discordant cytogenetic findings between ICM and TE in human blastocysts」という演題名で日本人類遺伝学会で発表した。このデータについては論文を執筆している。また本研究を行うにあたり、1細胞の染色体解析を行うのに最適な網羅的な染色体解析手法を探索した。この実験結果については論文にまとめ投稿している。
今年度は、昨年度に引き続き、分割停止を起こした受精卵、もしくは廃棄予定の受精卵の染色体解析を行う。昨年度に学会発表した「Discordant cytogenetic findings between ICM and TE in human blastocysts」について、論文投稿する。また分割停止した受精卵の染色体解析について、詳細に解析しデータをまとめる。またデータをまとめるためには、大量の染色体解析のデータが必要になるため、サンプル調製法やシーケンス法など本研究の目的に沿った最適な方法を開発する。
(理由)人件費に計上した予算が浮いたため。(使用計画)差引額については、主に試薬消耗品として使用する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Congenital Anomalies
巻: - ページ: -
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